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ソニーはいつまで「4Kテレビ」を引っ張るのか?プレミアムで無くなる日

薄型テレビの国内販売は回復傾向にあるが、世界の競争軸とは乖離
ソニーはいつまで「4Kテレビ」を引っ張るのか?プレミアムで無くなる日

ソニーの4Kテレビの新商品

 ソニーからテレビ事業を分社化したソニービジュアルプロダクツ(東京都品川区)の高木一郎社長は28日、日刊工業新聞などの取材に応じ「他社製品より1―2割価格が高い製品の割合を8割以上に引き上げ、収益力の強化を図る」と戦略を説明した。
 
 粗利を向上することで、16年3月期の黒字達成を確実にする。価格が1500ドルを切る製品ラインアップの絞り込みも進める。普及価格帯での勝負を避けて、利益を確保する方針だ。
 
 テレビ事業は15年3月期に11年ぶりに黒字化したが、今後は安定的に収益を維持することが課題になる。高木社長は「プレミアム4Kなら高画質・高音質・デザイン力を軸としたソニーの強みを生かせる」と強調した。売上高の数%程度を、画質を高める信号処理やアルゴリズムなどの研究開発に投資する計画だ。
 
 黒字化については「過去数年さまざまな対策をしてきた上での結果だ」とし、構造改革はほぼ完了したとの認識を示した。ただ「一部、直販店の絞り込みは必要」。販路改革を継続して「10月以降には成果を出せる」と話した。日本国内で家電量販店が店舗を閉鎖していることについては「今のところ影響はない」としつつ明言を避けた。
(日刊工業新聞2015年05月29日3面)

 4Kテレビ、アンドロイドOS、ハイレゾなどで攻勢

 ソニーは13日、フルハイビジョン(HD)の4倍の解像度を持つ4Kテレビの新製品3シリーズ7機種を6月20日に発売すると発表した。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用し、ネット動画をはじめさまざまな映像コンテンツを楽しめるようにした。価格は65型の「KJ―65X8500C」が50万円前後(消費税抜き)。

 音響面では業界で初めてCDより音質の良い「ハイレゾ」音源に対応にしたモデルをそろえたほか、一般放送の音声をハイレゾ並の音質に高める機能を搭載した。映像面では新型プロセッサー「X1」により、フルHD以下の映像の画質、色彩、明暗が大幅に向上する。サイズは43型―75型までそろえる。ソニーマーケティングの河野弘社長(写真右)は「高付加価値品の投入により昨年度に続き15年度も、4Kテレビ市場で台数、金額ともに国内首位を維持したい」としている。
(日刊工業新聞2015年05月14日 電機・電子部品・情報・通信面)

 薄型テレビの国内販売回復、4Kがけん引

 民生用電子機器の国内出荷額が13カ月連続で前年を下回る中、薄型テレビ販売が回復している。3月のデジタルアナログ変換サービスの終了に伴う買い替え需要や、フルハイビジョン(FHD)の4倍の解像度を持つ「4Kテレビ」の価格下落が出荷増に寄与した。4Kテレビが全体に占める割合もじわじわと伸びつつある。テレビ事業で苦戦するメーカー各社は、4K製品のラインアップを拡充して巻き返しを図る。

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した4月の民生用電子機器の国内出荷額は、前年同月比3・5%減の849億円だった。オーディオやカーナビゲーションシステムなどが落ち込む中、薄型テレビの出荷台数は2カ月連続でプラス成長。中でも30―36型が同48・7%増の12万7000台と、全体の出荷増を後押しした。

 メーカー各社が期待をかけるのが、高解像度の4Kテレビ。単価上昇による利益率アップを見込めると、各社が製品数を増やしている。薄型テレビ全体に占める4Kテレビの比率は、2014年に4・7%だったのが、15年に入り6―7%で推移。徐々に割合を増やしている。
 
 ただ一方で、価格下落が進行。販売台数を押し上げる要因となっている反面、利益を確保するためのシェア争いが激化している。各社は画質以外の差別化や付加価値戦略を重視し、ラインアップの拡充を始めている。

 ソニーは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用した4Kテレビ7機種を、6月に発売する。ネット動画など多彩な映像コンテンツを楽しめる。パナソニックも米モジラ財団のOS「ファイヤーフォックス」を搭載し、色再現性や操作性などを高めた4Kテレビを発売。デジタルカメラやホームビデオなどの4K商品群との連携で、差別化を図る。東芝も映像配信サービスを行う米ネットフリックスに対応した4Kテレビの販売を始めた。

 テレビ需要の回復はメーカー各社にとって追い風だ。ただ「この状況が続き、年間を通して大きく伸びるとは言い難い」(JEITA)。さらなる需要喚起策が不可欠だ。海外テレビ事業を中心に業績不振が続く各社にとって、日本市場は最後の砦。最近では韓国LGエレクトロニクスが4K対応有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)テレビを投入し、競争激化は必至。現状、各社の差別化戦略が功を奏すかは不透明な状況だ。
日刊工業新聞2015年05月27日 電機・電子部品・情報・通信面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
テレビはもう画質が競争軸ではないことは、5年以上前から分かっていること。それでもビジネスモデルを転換できない。アップルもなかなかブレークしない難しいビジネス。プレミアムはビールとか食品で使う言葉。コンシューマエレクトロニクスにはそぐわない。

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