航空機向け出荷を5年で5倍に伸ばした埼玉の合金メーカー
三芳合金工業、国に流れた発注も1年で取り戻す
三芳合金工業(埼玉県三芳町、萩野源次郎社長)は、各種銅合金部材の製造を手がける。親会社でその製品販売を手がける大和合金(同)とは一心同体で、ほぼ全製造業種にまたがる需要に応える。中でも受注の伸びが著しいのが航空機向けの軸受部材。2013年度は30トン前後だった出荷が、18年度には150トンにまで伸長する見込みだ。
萩野社長は「10数年前までは、航空機向け部材と知らずに製品供給していた」と振り返る。だが、国内の航空会社向けには、出荷実績が長く、補修用としての足回り部品(ランディングギア)向け軸受(ブッシュ)部材のシェアは高い。
それでも04年頃に、これら軸受部材の一部が米国メーカーに流れたことがあった。だが品質などの面で、その翌年には全量が三芳合金工業に戻ってきた。こうしたエピソードから、自社の品質の自信につながり、航空機需要の本格開拓に乗り出すきっかけとなった。
同社は08年頃から、国内外の航空関連産業展に相次いで出展。その結果、かつてはゼロだった海外の航空機整備会社向け取引が3社に拡大。1年ほど前にはフランスの大手航空機ユニット装置メーカーの補修向け部材供給資格を取得。さらに16年末にはドイツの同分野大手メーカーのリーブヘルから補修、新造機向け双方の部材供給資格を取得した。
萩野社長は「リーブヘルとの取引開始は、新造機向けが加わることで意義深い。中小型機向けも含めボリュームゾーンが広がる」と手応えを感じている。
今後の課題は、さらなる付加価値の向上だ。部材だけの供給から、最終的な航空機部品供給が可能な体制作りを模索する。埼玉県と埼玉県産業振興公社の支援の下、メッキ工程で吉野電化工業(埼玉県越谷市)、非破壊検査工程で吉増製作所(東京都あきる野市)と協業した。アルミ青銅製のランディングギア用ブッシュを試作するなど、最終製品供給に向けた第一歩を踏み出している。
(文=川越・岡部正広)
萩野社長は「10数年前までは、航空機向け部材と知らずに製品供給していた」と振り返る。だが、国内の航空会社向けには、出荷実績が長く、補修用としての足回り部品(ランディングギア)向け軸受(ブッシュ)部材のシェアは高い。
それでも04年頃に、これら軸受部材の一部が米国メーカーに流れたことがあった。だが品質などの面で、その翌年には全量が三芳合金工業に戻ってきた。こうしたエピソードから、自社の品質の自信につながり、航空機需要の本格開拓に乗り出すきっかけとなった。
部品の一貫生産へ飛躍めざす
同社は08年頃から、国内外の航空関連産業展に相次いで出展。その結果、かつてはゼロだった海外の航空機整備会社向け取引が3社に拡大。1年ほど前にはフランスの大手航空機ユニット装置メーカーの補修向け部材供給資格を取得。さらに16年末にはドイツの同分野大手メーカーのリーブヘルから補修、新造機向け双方の部材供給資格を取得した。
萩野社長は「リーブヘルとの取引開始は、新造機向けが加わることで意義深い。中小型機向けも含めボリュームゾーンが広がる」と手応えを感じている。
今後の課題は、さらなる付加価値の向上だ。部材だけの供給から、最終的な航空機部品供給が可能な体制作りを模索する。埼玉県と埼玉県産業振興公社の支援の下、メッキ工程で吉野電化工業(埼玉県越谷市)、非破壊検査工程で吉増製作所(東京都あきる野市)と協業した。アルミ青銅製のランディングギア用ブッシュを試作するなど、最終製品供給に向けた第一歩を踏み出している。
(文=川越・岡部正広)
【企業プロフィール】三芳合金工業のルーツは戦前の軍需工場にさかのぼる。戦後の一時解散を経て、銅合金専業メーカーとしての一歩を踏み出した。金属溶解から、鋳造、鍛造、熱処理、切削加工、素材検査までの一貫生産により、規格外品にも柔軟に対応する。全業種に幅広く需要領域を持つが、航空機向けを筆頭に、鉄道、エネルギー分野での大きな伸びしろを見込む。