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車載リチウム電池、初期投資10分の1で量産

東北大が確立、技術指導も
車載リチウム電池、初期投資10分の1で量産

「コペン」に、開発したリチウムイオン電池を組み込んでEVに改造した

 東北大学未来科学技術共同研究センターの長谷川史彦教授のグループは、安全性の高いリチウムイオン電池を低コストで量産できる技術を確立し、地元の中小企業が量産する体制を整備した。併せて自動車に電池を搭載して走行試験を始めた。

 電池はマンガン系正極を用いることで熱暴走のリスクを抑えた。水分に強い組成にすることで、ドライルームで製造する必要がなくなった。初期投資が従来の約10分の1になり、除湿などの操業費も大幅に削減できた。

 従来、リチウムイオン電池は大規模生産が主流だった。生産ロット数を柔軟に変更できる製造ラインを構築し、中小企業の少量多品種生産を可能にした。同センターは今後、希望する企業に技術指導なども実施する。

 同センターは宮城ダイハツ販売(仙台市若林区)から提供されたスポーツカー「コペン」に、電池を組み込み電気自動車に改造。沿岸被災地や過疎化の進む中山間地に適した車両の開発に向け、走行試験も始めた。
日刊工業新聞2017年2月21日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
初期投資が大幅に減るとはいえ、電池の生産は品質管理を含め相当の手間とコストがかかる。電池工場なら初期投資で最低でも300億円以上はするだろう。10分の1といっても相当な額だ。どの程度の生産ラインなのかこの記事からは分からないが、中小企業が導入するのは現実的ではないような気もする。せっかくなら大手企業と中小が協業できるしかけも必要だろう。

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