火消し役不在の東芝。2部降格か上場廃止か

1部上場のプライドを捨て、再建へ長期戦

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綱川社長は火消し役になれるか
 原子力発電事業で7000億円超の損失を計上する見通しとなった東芝。3月末時点で債務超過に陥り、東証2部へ降格する可能性が高まっている。特設注意市場銘柄の指定は継続しており、不適切会計問題の“みそぎ”もまだ残る。経営再建は長期戦になる可能性がある。

 東芝は半導体メモリー事業を分社して設立する新会社の株式の50%超を売却する方針を打ち出した。当初は20%未満を3月末までに売却し、債務超過回避を目指す意向だったが14日に転換し、売却時期も先送りにした。

 年度末という期限にこだわれば、相手に足元を見られ買い叩かれる。それならば2部降格に甘んじても、半導体メモリー新会社の株式を高値で売って財務基盤を強固にした方が良い。こうした判断が働いた。

 市場関係者の反応は悪くない。東海東京調査センターの石野雅彦企業調査部シニアアナリストは「苦し紛れの1部上場の維持は事態を悪化させる。2部降格のデメリットはそれほど多くない」と指摘する。

 東芝を表現するこんなエピソードがある。東芝で火事が起きるとどうなるか。社長が「火事だ」と役員に言う。役員は部長に、部長は課長に、課長は係長に「火事だ」と伝えるだけ。

 誰も火を消そうとしない。今回、追い詰められたとは言え、「1部上場というプライドを捨てる」(石野アナリスト)判断を受け入れた。2部降格は東芝が良い方向に進むきっかけになり得る。

 一方、不適切会計問題で東京証券取引所から特設注意市場銘柄の指定を受けてリスクが高まっている。東芝が同指定を受けたのは15年9月15日。

 指定解除に向け16年9月に「内部管理体制確認書」を提出したが、改善が不十分として指定継続の判断を受けた。3月15日以降に再度、確認書を提出し審査を受けることになる。

 そうした中、14日には原子力発電子会社の米ウエスチングハウス(WH)で新たな内部統制の不備の疑いが発覚した。企業買収案件をめぐってWH経営者が不適切なプレッシャーをかけていた疑念が明らかになったという。

 金融業界からは「東証の審査能力が試されており、当然、厳しく判断するだろう」との指摘がある。また外資系証券アナリストは「ねじ曲げられた数値の多寡は関係ない。プレッシャーにより事実がねじ曲げられた事実が存在すればアウトという判断もあり得る」と話す。

 再提出する確認書で改善が認められなかった場合、東芝は上場廃止になる。また、債務超過の状態が1年以内に解消できない場合であっても上場廃止となってしまう。厳しい目が注がれるなか、経営再建に向けた道のりは長く、予断を許さない状況が続きそうだ。

日刊工業新聞2017年2月21日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

一部には社外から再建を担える大物をトップに据えるべき、という声もある。しかし社外取締役にしても、特にこの1年の混乱の責任はある。どこか吹っ切れた感じもする綱川社長に、当面任せてみるのがよいと思う。

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