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セレブの心理をくすぐります!ドンキホーテが東京・白金に実験店開業

名前はずばり「プラチナドンキ!」 高級松坂牛から200円弁当まで
セレブの心理をくすぐります!ドンキホーテが東京・白金に実験店開業

松坂牛がズラリ

 ドン・キホーテは29日、東京・白金台に都心一等地の住宅街向けの実験店「プラチナ ドン・キホーテ白金台店」を開いた。200円の“驚安”弁当の品揃えなど標準ドンキのように低価格、猥雑感のある店作りは同じ。しかし松坂牛の専門店を導入するなど、高級住宅地である白金台という地域性を意識した商品政策。ドンキも全国300店を超え今後、都市部への出店は一段と立地に合わせたり地域性を反映したりした商品政策、店舗作りが必要。きめ細かな地域対応の実験だ。
 
 「プラチナドンキ」の店名は地名の白金台にちなんでおり、看板も標準ドンキの黒字地に黄色の文字ではなく、落ち着いた配色にしている。売り場面積は944平方メートル。約4万品目と品揃えの幅は標準ドンキに負けず劣らず広い。

 しかし商品は食品と生活雑貨、消耗品に絞り込んだ。標準ドンキでは家電や高級ブランドなど非食品の構成比が高いが、低粗利の最寄り品で収益を上げる実験でもある。同店では食品の売り場では酒類は高級品から低価格品まで幅広く品揃えしたほか、精肉、青果といった生鮮食品を導入している。
 
 なかでも精肉部門では三重県の松坂牛専門店の「朝日屋」をテナントとして導入、集客の目玉にしている。同社はテナント出店は同店が初めてという。数千円のステーキ肉など、「シロガネーゼ」の心理をくすぐる作戦だ。

 そうかと思えば、店内で最終調理した弁当や総菜を販売しているが、弁当は実に200円というまさに驚安の設定。しかも素材の精肉は朝日屋の商品を使っているという。低価格から高級品までどこで顧客を引き付け、どこで収益に結びつけるかを知り尽くした同社ならでは施策だ。売り上げは年25億円を見込む。

 ドンキは従来から現場に権限を与え地域に合わせた品揃えが進んでいる。しかし、今回のプラチナドンキは食品という保守的な分野を増やし高級品を商品政策の随所に差し込んだ。節約志向と高級志向の二極化が鮮明になるなかで、地域の特性を一層色濃く反映させた格好だ。

 ドンキも都内での出店密度が高まり、競合店はもとより自社店舗に対しも差別化を図る戦略が必要になっている。すでに赤坂というビジネス街を後背地に持つ場所に「ピカソ」の新業態を展開しているし、都心から少し外れた場所では「驚安堂」という大型コンビニエンスストア業態も展開している。

 同社の創業会長兼最高顧問の安田隆夫氏は「小売業は地域ナンバーワンでなくてはならない」が持論。そのため、店舗に権限を与え、地域をニーズをくみ取る商品政策、店作りを推進してきた。いわば今回のプラチナドンキはその経営戦略を一歩進めた店舗といえる。
ニュースイッチオリジナル
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 小売業はここにきてもっと地域のニーズをもっとくみ上げようと、組織や商品開発の改革に乗り出すところが多い。ドンキはかねて1店1店が地域ナンバーワンの小売業になることを前提に経営してきたというが、今回シロガネーゼの心をつかんで、一段と地域を反映した店作りをできるか。壮大な実験だね。

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