東芝、半導体事業売却で8000億円調達へ。アップルも関心示す

3分の1超の株式保有を希望

 東芝が、分社して設立する半導体メモリー新会社の株式を売却し、8000億円規模の資金を調達する計画を進めていることが19日までに明らかになった。出資にはアップルなど複数の米国企業が関心を示している。東芝は新会社の株式について、完全売却の可能性を示しているが、現時点ではあくまでも東芝が3分の1超を保有し、経営の主導権を確保する方向で交渉する。ただ、東芝の取引銀行にはメモリー新会社株の完全売却を求める声もあり、両者の協議は難航するとみられる。
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 東芝幹部「悔しがっている時間さえない」


14日の会見で東芝の綱川社長は「あらゆる可能性を否定しない」と答えた

 「過半数超えの決定は残念。しかし悔しがっている時間さえない」―。東芝幹部はどこか吹っ切れた表情でこう語った。

 14日の記者会見では半導体メモリー事業を分社して設立する新会社の株式売却比率について、20%未満とした従来方針を転換。50%超の売却を検討する意向を示した。2017年3月期末での債務超過を回避するため半導体メモリーの切り売りは避けられない。

 2月に本格的にスタートした入札手続きでは「20%未満」という条件がネックだった。経営に関与できる度合いが少ないため、投資ファンドを中心に「魅力が乏しい」との声が挙がっていた。

 出資受け入れ比率の引き上げは取締役の中でも議論があった。全面売却まで踏み込む必要があるのか―。14日午前に開かれた取締役会でも「好調なメモリー事業から売る、というのはいかがなものか」という意見も出た。しかし「ほかに売れる事業はない」。この指摘に反論できる出席者はいなかった。

 「信用不安に陥るのが一番怖い。東芝がお金を集められることを示さないといけない」(東芝幹部)。もともと半導体メモリー事業に対する外部からの評価は高い。さらに過半数超の出資受け入れという“好条件”を提示。できるだけ多くの資金を調達し経営危機を乗り切りたい考えだ。

<産業界は「日本に残して」>
 日本商工会議所の三村明夫会頭は「日本の財産とも言うべき企業が、このようなことになっているのは誠に残念」とした上で、「半導体事業を全面的にあるいは部分的に売るのか、企業としてはぎりぎりの状況だが日本の中に残すことを考えてもらえないか」と東芝の技術力を高く評価する。

 一方、メーンバンクである三井住友銀行の国部毅頭取は「経営改善の具体策を伺った上で、可能な限りサポートしていく。メモリー事業は大変な価値を持っている。価値を勘案すれば実態的には株主資本はプラスと私は見ている」と財務立て直しを最優先すべきとの考えだ。

日刊工業新聞2017年2月20日の記事を大幅加筆修正

明 豊

明 豊
02月20日
この記事のファシリテーター

完全売却なら事業価値は2兆円程度とも言われている。事業競争力を発揮するには、100%売却はありだと思う。それで東芝の社員がリストラされるわけでもない。それ以上に原発の損失リスクの上限がある程度見えないと、再生への道筋はおぼつかない。

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