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「海沿いのエレベーターはよく止まる」-。ベテラン保守員の経験則をAIで

三菱電機ビルテクノがAI利用の保守サービス開発へ。ダウンタイム減らす
「海沿いのエレベーターはよく止まる」-。ベテラン保守員の経験則をAIで

AIによる故障解析で技術者の保守作業支援も(エレベーター内部の点検作業)

 三菱電機ビルテクノサービス(東京都荒川区、吉川正巳社長)は、人工知能(AI)技術を使ったエレベーター向け保守サービスを開発する。稼働や修理履歴などに関するビッグデータ(大量データ)を解析。遠隔で故障診断して自動復旧させたり、機器の劣化予兆を正確に検知して保全計画を最適化したりするサービスを実用化する。2018年から提供する計画。エレベーターのダウンタイム(稼働停止時間)を減らし、顧客満足度向上につなげる。

 すでに三菱電機ビルテクノは各地のエレベーターと管理センターを回線で結び、運行状態を監視して異常を検知したりする「遠隔監視サービス」を展開している。このシステムを高度化し、AI活用の保守サービスを開発する。

 故障からの自動復旧サービス、保全計画の最適化サービスのほか、遠隔でエレベーターの待機階のスケジュールを管理して効率運転を実現し「待ち時間」を短縮するサービスを開発する。

 既存の機器やソフトウエアをベースに実現できる形でサービス開発を進める。自動復旧サービスでは信号関係の不具合のほか、物理的な不調を特殊な運転パターンで解消する機能なども用意する計画。

 国内外のエレベーターメーカーが、AIやIoT(モノのインターネット)技術を活用してサービスを高度化する取り組みを進めている。三菱電機ビルテクノは業界の先陣を切って遠隔監視サービスなどを実現してきた。蓄積したノウハウを生かしてAI活用の保守サービスを開発し、他社との違いを打ち出す考え。
日刊工業新聞2017年2月16日
後藤信之
後藤信之 Goto Nobuyuki ニュースセンター
海沿いのあのビルのエレベーターは、砂が挟まってよく停止する--。保守のベテラン技術者は、こんな経験則を元に作業計画を立てるという。三菱電機ビルテクノのAI利用の保守サービスが、こうした暗黙知をどこまで取り入れられるかに注目したい。「遠隔監視サービス」などをいち早く実現してきたエレベーターは、IoT時代を先取りしてきたと言える。先端のIoTの形を見せてくれることにも期待したい。

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