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中国の工作機械市場 春の訪れ?

 日本工作機械工業会(日工会)が16日発表した1月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比3・5%増の1037億4400万円となり、2カ月連続で増加した。内需の落ち込みを中国を中心に外需が補った。1月の外需が、決算月で受注が集中する前年12月を上回るのは6年ぶり。花木義麿会長は同日開いた月例会見で、「中国は、そろそろ“春”の訪れを感じる」と停滞期を間もなく脱するとの見解を示した。

 内需は2カ月ぶりに前年同月を下回り、8カ月ぶりに400億円を割り込んだ。2016年11月の大型見本市や各社の自社展示会の効果がはく落した上、政府が設備投資を支援するモノづくり補助金の、合否結果を待って受注しようとする動きがあった。業種別では半導体関連などの電気・精密が3カ月連続増と上向いている。自動車は4カ月ぶりに減少した。

 外需は2カ月連続増で、650億円超えも2カ月連続。中国が14カ月ぶりに増加し、19カ月ぶりに200億円を超えた。要因は短期集中の大口受注ではなく、「全般的に緩やかに伸びている。建設機械も在庫整理が進んでいるようだ」(花木会長)と市場全体が回復基調にあるとみる。

 主要地域では北米が4カ月連続減。米国が前年同月比12・0%減、メキシコが同51・7%減と低調だ。米国への製造回帰を進めるトランプ新米大統領の政策で「一般論として(設備投資は)足が止まっている状況だろう」(同)と、しばらくメキシコ投資が滞りそうだ。
                

日刊工業新聞2017年2月17日
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」 花木会長の「春の訪れ」発言ですが、ご本人は「3月上旬ごろ」をイメージされたそうです。中国は工作機械の最大市場です。道真公が詠んだように、東風が吹けば、踊り場感のある工作機械各社の業績へのインパクトは、多大です。

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