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日本一奪還なるか?栃木・大田原産トウガラシ、カギは「ヘタ取り自動化」

関東職業能力開発大学校が試作機開発。2-3年内に実用化目指す
日本一奪還なるか?栃木・大田原産トウガラシ、カギは「ヘタ取り自動化」

学生14人で開発した自動化装置

 関東職業能力開発大学校(栃木県小山市)は、トウガラシのヘタを切断・除去する自動化装置の試作機を開発した。撮影画像を基に的確に位置決めを行い、切断後は良品だけを選別する。タクトタイムを手作業に相当する3秒に設定。トウガラシ1・5キログラム(約5000本)を一度に投入して約4時間で処理する。食品メーカーなどと連携して2―3年以内に実用化し、1台数百万円での普及を目指す。

 自動化装置はラインを稼働させながら撮影、位置決め、切断、選別を連続して行えるのが特徴。作業スピードを上げられるほか、ラインの加減速度によって対象物がずれるといった問題を解消する。

 画像処理でトウガラシの実とヘタの色相を判別して位置決めする「境界部検出システム」と、実とヘタを切り分ける「切断機構」、スクリューの回転運動で1個ずつ流し、形の悪いトウガラシやヘタを除去する「分別システム」で構成。装置の大きさは幅1200ミリ×奥行き800ミリ×高さ1400ミリメートル。

 トウガラシ農家は現在、不要となるヘタの部分を手で取り除いており、作業者の高齢化や人手不足で生産量が減少している。ヘタ取りの自動化が課題で、トウガラシ加工メーカーの吉岡食品工業(栃木県大田原市)の依頼で開発に着手。2016年12月に都内で開かれた展示会「アグリビジネス創出フェア」に出品し、企業から高い評価を得た。吉岡食品に今後貸し出して使い勝手を検証する。

 吉岡食品のある大田原市はかつて国内最大のトウガラシ生産地だった。装置の活用で「日本一奪還」の機運を高める。装置は関東能開大の機械、電気、電子情報系の学生総勢14人で開発した。
日刊工業新聞2017年2月3日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 「大田原とうがらしの郷づくり推進協議会」のウェブサイトでは、トウガラシを使った商品の取扱店が紹介されています。中には「どら焼き」や「ようかん」、「ジェラート」といった商品も。どんな味がするんでしょう。

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