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DeNAはUberになれるか!東京五輪までに「ロボットタクシー」実現へ

ベンチャーのZMPと新会社設立。「新しいモータリゼーションでの成功を目指す」(ディー・エヌ・エー)
DeNAはUberになれるか!東京五輪までに「ロボットタクシー」実現へ

会見する中島ディー・エヌ・エー執行役員㊧と谷口ZMP社長

 ディー・エヌ・エーは自動車産業に本格参入し、中核事業となる無人タクシーの実現を目指した新会社「ロボットタクシー」を29日に設立する。自動運転技術とインターネットを使って無人タクシーを最適に配車し、どんな人も自由に移動できる。当初は自動運転の実証実験を行い、次に特別区などでの限定的なサービス、正式サービス開始へと順次進める。実用化には規制緩和が必要だが、「夢として2020年に東京で無人タクシーを多数走らせたい」(中島宏ディー・エヌ・エー執行役員)と語る。

 新会社の資本金は7億円でディー・エヌ・エーが66・6%、ロボットベンチャーで自動運転技術開発を業界でリードするZMP(東京都文京区)が33・4%を出資。社長には中島執行役員、会長には谷口恒ZMP社長が就く。ロボットタクシーはZMPが以前から持つ構想で、「中島さんの熱意が強く、スピード感と実行力もある」(谷口社長)と協業が決まった。ディー・エヌ・エーはソフトや運営を担当し、各サービスや技術ごとに他社との協力も検討する。
 単なる送迎ではなく、観光や車内エンタメ、ヘルスケアなどユーザー体験視点でサービスを拡張する。車がネットとつながることで産業構造の変化が予想される中、「新しいモータリゼーションでの成功を目指す」(中島執行役員)。
(日刊工業新聞2015年05月29日 自動車面)

 <関連記事=すでに米ウーバーは自動運転の実験を開始>

 スマートフォンアプリを使ってタクシーやハイヤーの配車サービスを提供し、急成長中の米ウーバー(本社サンフランシスコ)。同社の謎の実験車両が米ピッツバーグ市内で目撃され、そのうちの1台の写真が初めて撮影されたと、地元紙ピッツバーグ・ビジネスタイムズが特ダネで報じた。写真によれば、センサーや機器類を車体に取りつけたフォードの黒いセダンで、ボディー横には「Uber Advanced Technologies Center」と書かれている。

 同紙の問い合わせに対し、ウーバーの広報担当者は「この車はマッピングや安全性、自律システムに関する初期段階の研究活動の一部」と回答、同社の実験車両であることを認めた。ただし、同社の主張によれば「自動運転車ではない」という。

 ウーバーのトラヴィス・カラニックCEOは最終的に自動運転車によるサービスを実現したい意向を表明しており、2015年2月には「先進技術センター」をピッツバーグに開設すると発表。ピッツバーグに本部を置き、コンピューターサイエンスやロボット研究で世界的に有名なカーネギーメロン大学と、自動車の安全性向上や自動運転車についての共同研究を開始している。

 一方で、同社の主要出資者にはグーグルベンチャーズも名を連ねる。今後、自動運転車開発で世界をリードするグーグルと協力関係を築くのか。ライバルになる可能性もないわけではない。
ニュースイッチオリジナル2015年05月23日
加藤百合子
加藤百合子 Kato Yuriko エムスクエア・ラボ 代表
既存の専業メーカーでない企業が輸送機器を開発する時代がいよいよ日本でも本格化の兆しです。 自動車だけでなく、様々な分野で専門家とその時点で専門ではない人のアウトプットで、後者が勝つ結果が出始めています。日本のものづくりはこれまで、研究や分析結果よりも経験値を重んじてきたため、なかなかイノベーションが起こりづらく、機能の深堀りに陥るだけになってしまっていると感じています。オープンイノベーションと言われていますが、社会と広く関わりながら、且つ、合理的な取捨選択により、日本の強みである形にする力は活かされるものと思います。無人タクシーにおいても規制に押しやられているうちに、アメリカに取られてしまったなんていう結果にならないことを祈ります。

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