病院破綻の典型は理事会マネジメントの機能不全から

武蔵野総合病院、過剰投資で資金繰り圧迫

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 医療法人武蔵野総合病院は1967年11月の設立。埼玉県川越市を中心に狭山、比企の一部までカバーする地域の中核的総合医療機関として発展。近年は21の診療科、185の病床数を有していた。

 ピーク時の売上高は2000年代半ばごろで約30億円。以降は25億円前後で推移してきた。しかし、破綻した医療法人の救済や、過剰ともとれる設備投資で徐々に体力を奪われていく。

 まずは、同じ川越市内の医療法人廣瀬病院の救済。51年開業の老舗だが、設備投資過多による資金繰りの悪化で業績不振が続き、06年11月に負債約19億円を抱えて民事再生法の適用を申請。ここで武蔵野総合病院がスポンサーとなり、医療法人刀圭会本川越病院として再スタート。だが、新病棟建設がまたも投資効果を生まず、同院は赤字が常態化。結局、武蔵野総合病院が支援のため約5億円の資金拠出を余儀なくされた。

 次に、15年に開設した「川越予防医療センター・クリニック」の誤算。川越駅近くの複合施設内という好立地に開設。「都市型医療施設」として期待されたが、十分な売り上げを確保できず、高額な不動産賃料とリース料が収益を圧迫。こちらも赤字が続いた。

 このクリニック開設費用は総額で約7億円。年商規模の有利子負債が資金繰りを圧迫し、12月27日、民事再生法の適用を申請した。今後は、病院再生に実績のあるスポンサーの支援を受け再建を目指す。

 投資の失敗、過剰投資による破綻という病院破綻の典型ともいえるケースだが、それを許した理事会マネジメントの機能不全にも厳しい目が向けられている。民事再生の申立書には「医師たる理事による事務方への経営の丸投げ」との記載もあり、その評価は手厳しい。今回の倒産は、改めて医師が病院経営を行う功罪を浮き彫りにした。
(文=帝国データバンク情報部)

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日刊工業新聞2017年2月14日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

赤字の医療機関は多い。国も2025年に向けて医療機関の機能分化を進める中で、「選ばれる病院」とそうでない病院の選別がますます進む。関連記事を参考に。

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