「ムラーノ」の発売を3カ月遅らせた日産。品質への意識が変わり始めた!

三権分立体制で、コストとはてんびんに掛けない

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高級車を作る栃木工場は世界の工場の中でも品質に優れる
 日産自動車は商品開発に関わる責任者として、収益を見るプログラムディレクター(PD)、商品力を見るチーフプロダクトスペシャリスト(CPS)、開発を見るチーフビークルエンジニア(CVE)を配置し、三権分立体制を敷いてきた。

 副社長の中村公泰は14年に品質を統括する立場になり、この体制に品質を見るチーフクオリティエンジニア(CQE)を組み入れた。

 中村は初代CVEを務めた経験もあり、従来の体制では「コストと品質をてんびんに掛けて、どうしても品質に目をつぶってしまうことがあった」(中村)との問題意識があった。

 CQEは顧客に近い立場を生かして顧客の不満解消のためのアイデアを開発部門に意見できる。他の3者と同等の権限を持ち、立ち上げ時に品質に問題があればプロジェクトを中断することもできる。

 CQEを導入し、新型『ムラーノ』の発売を3カ月、『ナバラ』の発売を1カ月遅らせたという。発売後に品質問題が起こることを考えれば「長期的には会社にポジティブに効いてくる」(同)。

 中村は各工場にいる“最後の門番”とされる品質保証部長のレポートラインも変えた。これまで品質保証部長は、日々ラインを流れる車両の品質について工場長にのみ報告していたが本社の品質部門にも報告させるようにした。「品質を工場だけではなく会社全体の問題として捉えられ、より厳しい目でチェックできる」(同)。

 以上はできあがった製品に対しての品質対策だが、購入後のサービスでも品質を重視する。車の新技術として、つながる車が注目されている。

 車がつながることで車両の状態をモニターでき、故障箇所を予測できるようになる。日産もサービスを始める予定だ。修理に必要な部品を事前に準備しておけば「お客さまを待たせることなく迅速なサービスにつなげられる」(同)。

 一方でつながる車の台頭は車のソフト領域を広げ「目に見えない問題への対処をますます重要にし使い方も難しくする」(同)。製品やサービスの品質のあり方にも変化を促す。

 中村は「品質はすべての基盤だ。品質に魅力が重なって強いブランドが形成される」と従業員に品質の重要性を説いて回り、品質を全社的な取り組みに広げようとしている。
(敬称略)

日刊工業新聞2017年2月7日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

自動運転技術が出てきてコストと品質の概念もこれから大きく変わってくる。コストにシビアという印象はゴーン社長の登場以来、常につきまとうが、「日産=品質」というイメージはない。いかにこれからブランディングも含め定着させていくか課題になる。

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