日本の介護をアジアに。国際・アジア健康構想協が始動

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リエイ(千葉県浦安市)など介護事業者によるアジア展開の事例紹介
 国際・アジア健康構想協議会が9日、都内で第1回の協議会を開いた。同協議会を「官民連携のプラットフォーム(基盤)」として、アジア地域への地域包括ケアシステムの展開や日本の介護事業者の進出促進に向け、共通認識の醸成や具体的な対応を図っていく。

 座長に中村秀一医療介護福祉政策研究フォーラム理事長が就いた。介護事業者や福祉機器メーカー、金融機関などのほか、医療法人、社会福祉法人などの関係者ら約300人が集まった。リエイ(千葉県浦安市)など介護事業者によるアジア展開の事例紹介や日本リハビリテーション病院・施設協会(長崎市)など有識者による発表が行われた。

 今後、アジアに紹介する「日本的介護」の事例整理や人材還流・教育関連の整理、介護事業者の海外進出支援の3本柱で検討を進める。中村座長は「高齢化が進むアジアで方向性を見い出したい。協議会を通じ、アジアでの展開を円滑、充実にしていく」と述べた。

本格的な高齢化迎えるアジア


 アジア諸国は今後、本格的に高齢化を迎える。内閣府の「高齢社会白書」でも、韓国の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は2015年の13・1%が35年には27・4%に上昇。シンガポールは11・7%が26・7%に、中国も9・6%が21・3%に高まる見通しで、日本を上回る速度で高齢化が進む。

 だが、現地の介護サービスは整備が遅れ、日本の介護への関心も高いことから、日本の介護事業者も海外進出を活発化している。

 国も国際展開の促進に意欲的だ。16年5月に健康・医療戦略推進本部に「アジア健康構想推進会議」を設置し、7月に「アジア健康構想に向けた基本方針」を決定した。

 また、外国人技能実習制度に介護職を追加し、出入国管理法の改正で在留資格に介護を取り入れた。在留期間も最長3年から5年に延長する。「日本はアジアで先に高齢化を迎え、介護の知識がある。日本が中心となりアジアの高齢化を支える」(同)方針だ。
 
 介護は医療機器・医薬品や生活産業など裾野も広く、介護ロボットやITなど産業の発展も見込まれる。内閣府も35年にはアジア地域で約500兆円の高齢者関連市場が生まれると試算する。

 同協議会の取り組みは、介護人材の育成と介護事業者の海外展開が両輪。「海外の人材にとって自国に日本式の介護施設があれば、日本で研修し、自国で就労するキャリアプランを描きやすくなる」(同)といい、これら“人材の還流”が市場開拓の切り札になる。
 

日刊工業新聞2017年2月10日素材・ヘルスケア・環境面/9日 ヘルスケア面より一部抜粋

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

「課題先進国」の日本にとって、介護の知識・ノウハウをアジアに展開することへの期待は高い。ただ「日本式」のビジネスをそのまま展開すればいい、というわけではなく、地域の実情や現地のニーズに合わせて“アレンジ”する努力が欠かせない。また海外展開によって新しい発想が生まれ、日本に優れたサービスが“逆輸入”されれば面白いと思う。

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