ダイヘンの無人搬送車用ワイヤレス給電システム、EVへの活用が見えてきた!

世界初の磁界共鳴方式、「コストダウンを進めれば勝利は間違いない」

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昨年4月の事業化に合わせてワイヤレス給電システム部を設置した
 産業機器分野で世界初の磁界共鳴方式を用いた無人搬送車(AGV)用ワイヤレス給電システム。同方式は長距離電送が特徴だ。既存事業で培った高周波やインバーターの技術などを融合し、実用化した。対抗馬には電気カミソリなどに使われる電磁誘導方式があるも、ほぼ接触して使う仕様。AGV用は電気自動車(EV)などへの応用も期待されている。

 ダイヘンが2000年代後半に社内の特許技術や要素技術の棚卸しを進める中で、「ワイヤレス給電というキーワードが出てきた」(田中良平技術開発本部企画部長)のが開発のきっかけ。

 09年から新規事業として検討開始。当初はうまくいかなかったが、11年に半導体製造装置向けプラズマ発生用高周波電源が転用できることに気付き、第1号試作機を完成した。

 さらに社内物色し、溶接機から派生した業務用IHクッキングヒーター向け大電流インバーターの技術を融合。「電力伝送用コイルとIH用コイルは似ている。業務用でも用途特化型の特殊品で鍛えられおり、スムーズに入れた」(鷲田晃暢ワイヤレス給電システム部技術課)という。

 苦労したのは安全性と、伝送効率の向上だった。実験と検証に多くの時間を費やし、当初50%以下だった給電効率を85%以上に高めた。「電源効率と伝送効率の双方にとって良い条件を導き出すのに苦労した」(辰田康明同技術課)と苦笑する。

 当初、EV用途を念頭に開発を進めたが、実際にはEV普及が想定していたより進まない。ジレンマの中で「成長市場で給電のみ手動だったAGVに着目した。人体や周辺機器への影響を抑える工夫を行った」(鶴田義範ワイヤレス給電システム部長)。

 AGV用をEV用にそのまま転用はできないが、磁界共鳴方式の実用化と販売実績は、いずれ立ち上がるEV市場向けで大きなアドバンテージとなる。技術担当の蓑毛正一郎取締役は「用途ごとのラインアップ拡充と、コストダウンを進めれば勝利は間違いない」と大きな期待を寄せる。
(文=大阪・松中康雄)

日刊工業新聞2017年2月9日

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磁界共鳴方式のAGV用ワイヤレス給電システム。位置ズレ許容範囲が広く、送受電ユニット間の距離が最大40ミリメートル、AGV停止位置が10ミリメートルずれても給電効率85%以上で、非接触で業界最高水準。同方式の特許を持つ米マサチューセッツ工科大学(マサチューセッツ州)発ベンチャーの米ワイトリシティ(同)と、車分野含めてライセンス契約を結んだ。 (日刊工業新聞大阪支社・松中康雄)

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