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商いも曲名も「命がけ」。顧問が自主制作したCD

岡野機工、修業時代の思いを歌詞に。作詞はあのいとこデュオ
商いも曲名も「命がけ」。顧問が自主制作したCD

岡野機工の元会長・元社長で、現在顧問の岡野武久さん

 「♪仕事するなら噓つくな、商(あきない)するなら嫌言うな、毎度おおきに、命がけ」―。岡野機工(広島市中区、岡野久恒社長、082・232・1426)の元会長・元社長で、現在顧問の岡野武久さん(79)がCDを自主制作した。岡野顧問は「命がけ」と名付けたこの歌の作詞を担当。大阪で修業した若い時の思いを込めたという。

 きっかけは、5歳年上の知り合いの経営者がCDを作ったこと。岡野顧問は「お金を残しても子どもが遺産を取り合いしたら意味がない。それなら自分の思いを歌にして残す方がいい」と歌詞作りに着手。1960年ごろ、修業先の機械工具商社で、大阪の町をリヤカーを引いて工具や機械を配達して回ったときの苦しさが浮かび、自然と「汗を拭き拭き自転車漕いで、毎度おおきに」という歌詞になったという。

 作曲は、ポップスデュオ「カズン」の漆戸啓さんに依頼。映画制作の調査で広島を訪れたテレビプロデューサーを岡野顧問が案内したことから縁ができ、曲作りを依頼した。会社近くで食堂を経営する米国出身の椎葉レイチェルさんに依頼し、英語の訳詞もできた。

 岡野顧問の交友関係の広さが実を結んだこのCD。「商売って命がけなんだよと伝えたい」と、300枚を制作して配る。(広島)
日刊工業新聞2017年2月9日
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
たとえ自慢話やよもやま話に思えたとしても、人生の先輩の話には何かとヒントが詰まっている。しかし金の卵として集団就職し、高度成長を現場で支えてきた世代も、すでに多くの方が一線を退いてしまった。どんな形であっても、思いの丈はどんどん発信してほしい。

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