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2017年度 自治体予算のポイント教えます《#01》

千葉県、群馬県、横浜市、川崎市、さいたま市、静岡市
**【千葉県】工業団地整備に17.6億円
 千葉県は1月19日、一般会計が前年度当初予算案比4・9%減の約1兆6297億円とした2017年度当初予算案を発表した。3月に知事選を控えるため骨格予算とし新規事業などは6月補正予算に盛り込む。

 商工労働部関連は約1776億円を計上した。前年度に続き、中小企業の経営改善支援や雇用拡大を重視し、健康・医療など成長分野への参入や人材採用支援などが中心。また、特別会計工業団地整備事業として、茂原にいはる(千葉県茂原市)、袖ケ浦椎の森(同袖ケ浦市)の2工業団地に17億6200万円を計上。17年度中の造成完了、分譲開始を予定する。

 20年東京五輪・パラリンピック大会の競技会場となる幕張メッセ(千葉市美浜区)の大規模改修費には7億9830万円を計上。受変電設備の更新や老朽化対策、機能強化のための工事に着手する。幕張メッセ改修は30年度までで総額160億円を見込む。サーフィン会場に決まった一宮町釣ヶ崎海岸の環境調査・測量費には1385万円を計上した。東京五輪に向けた仮設整備費は計上しなかった。

【群馬県】新技術・製品開発補助の対象に航空宇宙


 群馬県は7日、一般会計が2016年度当初予算比0・4%増の7245億円とした17年度当初予算案を発表した。産業経済部関連は16年度に続き中小企業の経営支援や雇用創出・拡大を重視した事業を中心に編成。新技術・製品開発補助の対象に航空宇宙産業分野を新たに加えるなど成長分野への参入支援施策も充実した。

【横浜市】IoTで産業活性化 交流組織を新設


 横浜市は1月31日、中小企業を対象にIoT(モノのインターネット)技術の活用を支援する事業を始めると発表した。今夏までに製造業やIT企業、大学、研究機関による交流組織「I・TOP(アイトップ)横浜」(仮称)を設立する。IoT導入や新事業の進出に前向きな中小企業を組織に引き入れ、オープンイノベーションによるビジネス創出を目指す。2017年度予算案に関連予算5500万円を盛り込んだ。

 新事業「IoT推進産業活性化事業」はI・TOP横浜が主催するセミナーや交流会を通じ、IoT関連ビジネスを創出するプロジェクトの発足につなげる。中小企業をサポートするコーディネーターや有識者を派遣するほか、実証実験などに必要な設備導入の支援も行う。人材育成やセキュリティー関連の部会設立も検討する。

 また、16年12月に産学官金で連携し発足した「横浜ライフイノベーションプラットフォーム」による創薬や医療機器開発などを支援する事業に8000万円を計上する。IoT推進産業活性化事業との相乗効果も図る。

 横浜市の17年度当初予算案は、一般会計が前年度比8・7%増の1兆6459億円。うち中小企業向け成長・発展分野の強化に関する予算は同約2・2倍の1億9700万円に増額した。

【川崎市】ICT活用新事業促す 中小の競争力向上


 川崎市は市内中小企業が情報通信技術(ICT)を活用して、新たなビジネスモデルを構築する環境整備に着手する。中小企業の競争力強化と産業集積を強化する狙いで、2017年度当初予算案に新規事業として約4300万円を盛り込んだ。産業立地誘導の推進や企業活動環境の向上では2億8300万円を計上。新たに市内の準工業・工業地域の中小製造業の工場新増設を支援する。

 産業集積地「臨海部(キングスカイフロント)」の競争力強化に向けて97億7100万円を計上した。「臨海部ビジョン」(仮称)の策定に取り組むほか、浜川崎駅周辺地域における土地の活用や、臨海部内外の交流・連携促進機能の整備を進める。

 川崎市の17年度一般会計は前年度比10・9%増の7088億円と過去最大規模の予算を計上。経済労働局関連は同14・7%減の273億6100万円、臨海部国際戦略本部は同8・7%増の6億1300万円。

【さいたま市】東日本対流の拠点整備 大宮駅を再開発


 さいたま市は東日本の対流拠点として、同市大宮区のJR大宮駅周辺の再開発や大宮駅グランドセントラルステーション化構想の実現に向けた具体的な検討を始める。ハードだけでなく、東日本各都市を結びつける東日本連携支援センター(仮称)の開発の準備を進めるなど、ソフト面の整備にも乗り出す。2017年度当初予算案に大宮駅と周辺の開発に40億6156万円、東日本連携支援センターには1億153万円を盛り込んだ。

 大宮駅グランドセントラルステーションは、17年度中に駅機能の高度化などについて具体的な検討を開始。また、東日本連携支援センターは東日本の各自治体のアンテナショップの入居を予定。清水勇人市長は「これから10年後には人口が減少する。持続的成長のための基礎作りを今、進めなくてはならない」と述べた。

【静岡市】人口減少踏まえ企業誘致に焦点


 静岡市は6日、2017年度当初予算案を発表した。人口減少対策を踏まえ、企業誘致の推進、新産業の創出・既存産業の高度化、首都圏企業の機能移転推進事業など経済成長対策を推進する。企業立地促進事業補助金は前年度と同じ4億9200万円。首都圏企業の本社機能移転・拡充推進事業に270万円を計上。産業集積が期待される大谷・小鹿地区で企業用地を造成する恩田原・片山地区(仮称)区画整理事業に2億720万円計上し、着手する。

 市街化調整区域内の1ヘクタール以上の小規模な開発候補地の地権者の調査などを行う企業立地用地検討事業に2320万円を盛り込んだ。また、産学共同事業化研究事業(7件程度)など海洋産業クラスター創造事業に7790万円を計上した。一般会計は前年度比10・4%増の3116億円(権限委譲に伴う小中学校教員関係経費を除くと実質0・1%増)。
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
2月に入り、自治体の予算案発表が本格化してきました。これから順次まとめていきます。

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