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“プロ経営者”ルネサス社長、成長への思考回路

「M&Aの対象は必ずしも半導体メーカーとは限らない」
**呉文精社長兼CEOインタビュー
 ―主力の車載マイコンは自動運転技術の進展で追い風が吹いています。
 「自動ブレーキやレーダーなど、安全運転や自動運転に関するオプションの装着率が伸びている。3割くらいだとみていたが、実際には7―8割が装着するという事例が起きている。加えてスマートメーター(通信機能付き電力量計)やスマートホームなど、あらゆる所にマイコンを入れて制御しようとする動きがあり、そちらも伸びている」

 ―フル稼働が続く後工程(検査・組み立て)への対策は。
 「車載向けは信頼性や品質、カスタマイズの要求が高いため、自社工場を増強して対応する。ただ全て自社で抱えるのは非効率。生産委託先への技術指導を進め、外部での生産を増やしていきたい」

 ―重点施策であるグローバルマーケティング機能の強化をどう進めますか。
「日本以外の市場が事業をけん引していることが多いため、全て(の判断)を日本に持ち帰って(決めて)いたらスピード感が追いつかない。最も市場が伸びている所に司令塔を置き、ある程度の権限を与えて迅速に意思決定できるようにする。例えば先進安全運転支援システム(ADAS)なら日本と欧州、スマートファクトリーならドイツ、中国なら電気自動車といった形だ」

 ―6月末をめどに米インターシルの買収が完了します。
「上期中には手続きを完了したい。今、組織のあり方や具体的にどう相乗効果を出すかなどを議論している。アナログ分野などはインターシルが中心になる。日本以外にも本社を作り、グローバルに統括することを考えている。下期が始まる7月1日をめどに体制を整えたい」
 
 ―次なるM&A(合併・買収)の考え方は。
 「必ずしも買収ではなく、ライセンスやジョイントベンチャーなど方法はいろいろある。対象は必ずしも半導体メーカーとは限らない。無線通信やセンサー、セキュリティーといった領域を強化する必要がある」
(文=政年佐貴恵)

【略歴】
 呉文精(くれ・ぶんせい)79年(昭54)東大法卒、同年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。00年GEキャピタル・ジャパン。03年GEフリートサービス社長兼CEO。08年カルソニックカンセイ社長兼CEO。13年日本電産副社長、16年6月から現職。東京都出身。
日刊工業新聞2017年2月6日
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
構造改革フェーズから抜けて安定的に利益を上げられるようになり、自動運転車向けの仕込みも順調に進んでいる。今後の焦点はインターシルの買収効果を生み出すこと。呉社長は、買収後に企業価値を高めるプロセス「ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)」を自身の強みとしている。18年度以降の利益貢献に向けて、その手腕を発揮できるか注目される。

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