ソニー平井社長「高収益企業へ変革させる段階に来た」説明会で見せた自信

電機部門、15年度は営業利益2000億円に黒字転換へ。画像センサーは大型投資、テレビは値上げへ

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 ソニーは27日、不振のスマートフォン部門に対する構造改革として、派生機種を含む商品モデル数を2016年度に約30種類に半減すると発表した。平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)は同日に都内で電機部門の説明会を開き「(スマホを含む)モバイル部門は16年度以降、利益を確保する」と説明した。一方で高収益企業への変革に向け、15年度は「(画像センサーやゲーム機など)成長領域に積極的に投資を行う」と語った。

 平井社長は説明会で「モバイル部門を除けば計画通りに構造改革をやり切っており、高収益企業へ変革させる段階に来た」と断言した。15年度の電機5部門の営業損益は、前期の17億円の赤字から1940億円の黒字に転じる見通しだ。

 収益を改善する手段として、価格戦略を重視する。テレビ事業では得意な商圏に絞り込んだ上で「値上げを行う」(テレビ事業関係者)。スマホも「コスト削減では限界があり、価格を変える」(スマホ事業関係者)という。カメラは引き続き高価格帯の市場を掘り起こす考えだ。

 ソニーブランドと商品力への自信の表れと言えるが、値上げはもろ刃の剣でもある。単価下落を防げるが、販売台数の減少や顧客離れにつながる可能性もある。デザインや機能を顧客に訴求する難しさはソニーが最も理解しているはずであり、実際に値上げが成功できるか否かは不透明だ。

 またデバイス部門以外、成長力が乏しい点も課題だ。カメラは世界的な需要の減退に伴い販売台数が大きく減るほか、ゲーム部門も稼ぎ切れていない。テレビはリストラ効果が剥落する可能性があり、わずかな利益が消し飛ぶ恐れもある。成長投資に着手するだけでなく、構造改革も引き続き徹底すべきだ。

 足元では為替変動に伴う課題も浮上している。同社は1円の円安になると対ドルで70億円の減益、対ユーロで55億円の増益要因になる。現状では米国の利上げ観測でドル高が進む一方、欧州では金融緩和でユーロ安が進展しており、15年度の業績に悪影響を与える公算が大きい。

 構造改革をほぼ終えたとはいえ、経営環境は悪化している。17年度に営業利益を5000億円以上にする目標を掲げているが、高収益企業に転換するには、下振れリスクの大きい事業や不採算事業を早期に切り出す勇気も必要だ。成長性の乏しい事業は大胆に縮小し、画像センサーなど成長力の高い事業へのシフトを急ぐべきだ。

 【画像センサー事業堅調】
 電機部門の成長けん引役である電子デバイス分野では、主力の画像センサー事業が堅調に伸びる見通し。中国ファーウェイの「オナー6プラス」など背面カメラを2個搭載したスマホが出始めているほか、先進運転支援システム(ADAS)の普及拡大で車載カメラも増える見込みで、鈴木智行ソニー副社長は「5―10年のスパンでも画像センサー市場は右肩上がりで伸びる」と指摘する。

 15年度に画像センサー増産のための設備投資に2100億円(前年度比4・8倍)を投じる。今後も「2―3年後の需要動向を見据え、相応の投資を継続しないといけない」(鈴木副社長)と説明し、拡大する需要を確実に取り込んでいく考えだ。
 
【スマホ機種を半減−16年度以降、利益確保へ】
 電機部門で課題として残ったモバイル事業。2015年度を構造改革完遂と、新規ビジネスへの仕込みの年と位置付けた。構造改革では16年度までに、商品モデル数を半減させるほか、研究開発費を14年度の910億円から約30%削減、プラットフォーム数を15年度見通しの七つから約60%減らす計画を打ち出した。

 地域別では、欧州で商品構成の改善などを進め収益性向上を図る。米市場では投資を絞って赤字を最小化する。先に公表した計2000人の人員削減や、16年度までに運営費を14年度比で年約900億円削減する取り組みも継続する。

 15年度のスマホ出荷台数計画は前年度比23%減の3000万台。十時裕樹ソニーモバイルコミュニケーションズ社長は「意図を持って販売台数を落とす。来期以降は、伸ばせそうな地域では拡販を目指す」とした。

 新規ビジネス創出に向けては、「小さく産んで大きく育てる」(十時社長)。グループの通信事業子会社ソネットとの一体運営で、モノのインターネット(IoT)関連や企業向けビジネスを伸ばす。「15年度から新しい製品やサービスの展開を始めたい」(十時社長)とした。

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

今回は電機部門だけの説明会。スマホに限らずカメラやテレビも下振れリスクはある。後になって販売台数を下方修正するのはソニーではよくあること。センサーの利益率が2ケタの間に、次の成長の柱を作っておく必要がある。といってもコンシューマエレクトロニクスは、ハード単体で戦う時代ではない。やはりIoTはキーワードになる。センサーなどのエレクトロニクス技術資産を金融事業の高度化などに活用すべき。

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