進化するニッポンの工作機械は世界市場を突き抜けるか

世界市場は6兆円、製造業革命に乗り遅れるな!

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摩擦でワークをつなぐ機能を搭載したヤマザキマザックのMC
 世界市場で高い信頼を誇る日本の工作機械各社は、複合化や新しい加工技術の開発を加速している。生産性や精度の向上に有効なこれら技術はコスト、短納期、高付加価値の追求といった世界中の工場の課題に応える。製造業が変革の時代を迎える中、日本力が存在感を放つ。

 工具を回転させる加工法と、加工対象物(ワーク)を回転させる加工法の融合による複合化。今、この延長線上に収まらない複合化、加工技術の潮流がある。

 例えば切削と接合の融合だ。ヤマザキマザックはマシニングセンター(MC)に、摩擦でワークをつなぐ機能を搭載。シチズンマシナリー(長野県御代田町)は旋盤にレーザーを搭載し、削ったばかりのワーク同士を溶接する装置の製品化に動く。

 金属3Dプリンターは新しい潮流の代表格だ。レーザーなどで金属粉から形を作るアディティブマニュファクチャリング(付加製造)は、ドイツ勢の得意分野。だが、日本は付加製造と切削加工を融合させたハイブリッド機で市場を開拓する。

 ハイブリッド機は付加製造の課題の精度を工作機械の技術で補う。松浦機械製作所(福井市)、DMG森精機、ソディックなどがすでに商品化した。オークマは回転工具での切削、旋削、研削、焼入れ、金属積層造形の機能を1台に盛り込んだ。ハイブリッド機そのものも進化の途中だ。

 ただ、金属加工で需要度が高まるであろうレーザーはドイツ、米国に先行されているのが課題だ。日本は2014年度に金属プリンターの国家プロジェクトを始動。両国の装置を打ち負かすダントツに競争力の高い国産レーザーの開発が期待される。

 もう一つの課題は、優秀な人材の確保。工作機械産業は「ロンドンの投資家はハイテク産業とみなしている」(森雅彦DMG森精機社長)という次世代の製造業をけん引する存在。それにもかかわらず、人材難にあえぐだけに、業界を挙げたより強力な取り組みが必要となる。

 工作機械の需要はまだまだ外にある。日本勢の受注高は日本工作機械工業会(日工会)の公表数値によると最高で1兆5000億円規模だ。世界需要は5兆円、6兆円と言われる。この中には外為法による制限で日本勢の商売に向かない地域がある。それを除いたとしても、世界で日本の技術力を示せる余地は大きい。

日刊工業新聞2017年2月2日

COMMENT

六笠友和
編集局経済部
編集委員

海外で競争力の高い日本製品のひとつが工作機械です。IoT、AIをいかに取り込むかで、工作機械の世界地図が塗り替わる可能性がありそうです。

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