米国とカナダからの航空部品受注に「新潟市」が動きだした!
新潟市に拠点を置く航空機関連企業の海外展開を支援するため、同市が2016年11、12の両月に実施した北米訪問の成果が上がりつつある。米大手機体部品メーカー幹部が、17年2月に関連企業が入居する戦略的複合共同工場(新潟市南区)を視察することと、見本部品を発注することが決まった。“表敬訪問”ではなく、あくまでも受注が目的であったことに加え、ターゲットを明確にしたことが奏功した。
新潟市は海外展開支援事業として16年11月に米国を、12月にカナダをそれぞれ訪問。米国訪問の目的は機体部品の営業で、カナダはエンジン部品の営業だ。それぞれ機体部品、エンジン部品の製造に携わる企業の幹部クラスが参加した。
米国訪問は機体部品と装備品部品の多工程一括受注を狙う共同受注グループ「NSCA」のメンバーが参加した。ワシントン州にあるボーイングの工場を視察したほか、大手機体部品メーカーを中心に営業活動を展開した。
メンバーに同行した新潟市経済部企業立地課の宮崎博人航空産業立地推進室長は「大手機体部品メーカーは生産が追いつかない状況で、他国に発注していた」と強調する。想定受注価格を聞き出し、「その価格だったら十分に狙える」と自信を深めた参加者もいたという。
この訪問をきっかけに、米大手機体部品メーカー幹部が来日することになった。さらにNSCAのメンバーである柿崎機械(新潟県上越市)と佐渡精密(同佐渡市)が見本部品を製造することになり、図面の提供を受けた。佐渡精密の末武勉会長は「(技術力を)見てもらえるチャンスができた。受注に結び付けていきたい」と手応えを感じている。
カナダ訪問は同市西蒲区に拠点を持つJASPA(横浜市保土ケ谷区)などが参加。宮崎室長は「日本の中小企業の技術を全く知らず、技術力の高さに驚いていた。継続的に情報交換をしようということになった」と話す。
2回にわたる海外訪問は参加者の意識改革も促した。パールライト工業(新潟市西蒲区)の関陸夫副社長は「今後、何をどのように取り組むべきか優先順位が分かった」と語り、海外で自らが商談できるように英会話を猛勉強中だ。
新潟メタリコン工業(同東区)の井筒昇社長は「まだまだ先は遠い。(海外展開は)そんなに簡単ではない」と気を引き締める。柿崎機械の西川録郎社長も「まだまだよちよち歩き。力をつけなくてはいけない」とさらなる努力を惜しまない。
宮崎室長も「これで終わりではない」と強調する。新潟市は限度額500万円で試作部品の製造に要する経費の2分の1以内を補助していたが、海外向け航空機部品の場合、限度額1000万円で3分の2以内を補助する新たな支援策も打ち出した。
技術力はあっても中小企業にとって海外航空機産業への参入は容易ではない。だが、今回の海外訪問で大手に技術力を訴求してパイプもできた。新潟市の航空機関連企業が海外市場へ向けて離陸する時は遠くはないかもしれない。
(文=新潟支局長・中沖泰雄)
想定発注額「その価格なら狙える」
新潟市は海外展開支援事業として16年11月に米国を、12月にカナダをそれぞれ訪問。米国訪問の目的は機体部品の営業で、カナダはエンジン部品の営業だ。それぞれ機体部品、エンジン部品の製造に携わる企業の幹部クラスが参加した。
米国訪問は機体部品と装備品部品の多工程一括受注を狙う共同受注グループ「NSCA」のメンバーが参加した。ワシントン州にあるボーイングの工場を視察したほか、大手機体部品メーカーを中心に営業活動を展開した。
メンバーに同行した新潟市経済部企業立地課の宮崎博人航空産業立地推進室長は「大手機体部品メーカーは生産が追いつかない状況で、他国に発注していた」と強調する。想定受注価格を聞き出し、「その価格だったら十分に狙える」と自信を深めた参加者もいたという。
この訪問をきっかけに、米大手機体部品メーカー幹部が来日することになった。さらにNSCAのメンバーである柿崎機械(新潟県上越市)と佐渡精密(同佐渡市)が見本部品を製造することになり、図面の提供を受けた。佐渡精密の末武勉会長は「(技術力を)見てもらえるチャンスができた。受注に結び付けていきたい」と手応えを感じている。
日本の技術力に驚く
カナダ訪問は同市西蒲区に拠点を持つJASPA(横浜市保土ケ谷区)などが参加。宮崎室長は「日本の中小企業の技術を全く知らず、技術力の高さに驚いていた。継続的に情報交換をしようということになった」と話す。
2回にわたる海外訪問は参加者の意識改革も促した。パールライト工業(新潟市西蒲区)の関陸夫副社長は「今後、何をどのように取り組むべきか優先順位が分かった」と語り、海外で自らが商談できるように英会話を猛勉強中だ。
新潟メタリコン工業(同東区)の井筒昇社長は「まだまだ先は遠い。(海外展開は)そんなに簡単ではない」と気を引き締める。柿崎機械の西川録郎社長も「まだまだよちよち歩き。力をつけなくてはいけない」とさらなる努力を惜しまない。
宮崎室長も「これで終わりではない」と強調する。新潟市は限度額500万円で試作部品の製造に要する経費の2分の1以内を補助していたが、海外向け航空機部品の場合、限度額1000万円で3分の2以内を補助する新たな支援策も打ち出した。
技術力はあっても中小企業にとって海外航空機産業への参入は容易ではない。だが、今回の海外訪問で大手に技術力を訴求してパイプもできた。新潟市の航空機関連企業が海外市場へ向けて離陸する時は遠くはないかもしれない。
(文=新潟支局長・中沖泰雄)