おんせん県が沸いている!九州東部の「活力の道」が好影響

「大分に来てくりーや」 18年度に観光入り込み客数数2000万人目指す

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JRおおいたシティ。4月の開業時には行列ができた
 「大分の街や人を、さらに元気にすることで九州、そして全国を盛り上げたい」。大分県内の関係者は口々にこう訴える。複合商業施設を備えたJR大分駅ビル「JRおおいたシティ」が4月16日に開業。駅ビルを運営するJR大分シティ(大分市)は「開業以来、5月13日までの入館者数は約320万人」と発表した。3月には東九州自動車道の県内区間が開通。北九州(一部区間を除く)―宮崎両市の間がほぼ開通したことも沿道各地のにぎわいづくりに功を奏した。7―9月はJR各社などが開催する大分の観光キャンペーンも控える。まさに今年は大分の魅力を全国に発信する好機。地方創生の取り組みに期待が高まっている。

【にぎわう新駅ビル】
 JR大分駅は九州で4番目の乗車人数を誇る東九州の玄関口。周辺の再開発で駅ビルに開業した複合商業施設は、にぎわいづくりに取り組む中心市街地に新たな求心力を投入した。JR大分シティの関信介社長は「想定を超える1日平均約11万4000人が来場した」と喜ぶ。 

 市街地全体のにぎわいづくりを加速させるには、4月に開館した大分県立美術館、駅ビル、各商店街間の回遊性を高めることが欠かせない。関社長は「駅ビル、各商店が魅力を引き出すこと。連携して集客に向けた企画を練り、地域全体で魅力を発信することが街の元気につながる」と市街地の活性化に意欲を見せる。

【別府のSA客2倍】
 こうした中、3月に開通した東九州道(佐伯市佐伯IC―同蒲江IC)は県内への誘客を後押しした。2103年度末、開通前の大分―宮崎両市間の所要時間は3時間10分。開通後は2時間50分と20分短縮された。開通後1カ月間の一般道と並行した交通量は、佐伯堅田IC―蒲江IC間で約11%増加した。大分―宮崎間の交流が活発化し、別府湾サービスエリア(SA)は利用客が約2倍になった。高速バスや観光ツアーも新設された。

 広瀬勝貞大分県知事は「東九州道は活力の道」とし「沿道地域の産業や観光の発展、まち・ひと・しごとをつくる地方創生の基盤にしたい」と期待する。実際に研究会を立ち上げ、関西、中・四国地域からの交通、物流、観光面での活用を検討する。

【観光振興で新戦略】
 5月中旬にまとめた県の観光・地域振興の方針、次期ツーリズム戦略案にも東九州道など新規施設の活用が盛り込まれた。最終決定を秋ごろとする18年度までの同戦略案では、観光入り込み客数の数値目標を12年実績14%増の2000万人に設定している。

 具体的には東九州道を生かした誘客、東南アジア諸国を新たなターゲットとした海外誘客を最重要施策と位置づける。観光素材の磨き上げやブランド力向上などを引き続き強化。課題であった観光案内の多言語化や交通の利便性向上にも取り組む。

 観光・地域振興の舞台装置がそろった大分県。夏の観光キャンペーン「デスティネーションキャンペーン」をチャンスに、県内外へ官民一体となった「おんせん県おおいた」の熱い売り込みに沸き立っている。
 (文=大分支局長・広木竜彦)

日刊工業新聞2015年05月27日 列島ネット面

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

すでに九州新幹線が通る福岡~熊本~鹿児島間や現在整備中の九州西部と違い、大分や宮崎がある九州西部で高速鉄道の整備計画はない。そのため高速道路の重要性はとても高く、北九州から宮崎までの全線開通は地元の悲願。交通インフラは経済の血管であり、九州の中でも交通面で“行きにくい”宮崎への道が整えば、九州全体の新陳代謝が良くなることは間違いないでしょう。

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