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東芝、英原発事業見直し。機器供給に特化

「全面撤退を含めゼロベースであり方を検討する」(同社幹部)
東芝、英原発事業見直し。機器供給に特化

退任する原発事業の責任者、志賀会長

 東芝は英国の原子力発電プロジェクトの見直しに着手した。EPC(設計・調達・建設工事)による受注方針を転換し、機器供給に特化する方向で調整する。また原発の発注元で東芝が出資する電力会社の経営権を手放す案なども検討するとみられる。プロジェクトへの関与を抑え、将来の損失リスクを低減する。一方、日英両政府は2016年12月に原子力分野での包括的協力で基本合意しており、東芝のプロジェクト見直し議論に影響を与えそうだ。

 東芝は米原発事業で7000億円規模の損失が発生する可能性がある。今後の再発防止策として原発の海外事業を縮小する方針を27日に示した。

 英国で東芝は60%を出資する電力会社「ニュージェネレーション(ニュージェン)」を通じ、同国中部のムーアサイドで2024年に原発を稼働させる計画。

 ニュージェンが18年に最終的な投資判断を下し、計3基の原発を、東芝や原子力子会社の米ウエスチングハウス(WH)がEPC契約で受注する方向で計画を進めてきたが、損失リスク管理が困難とみて建設工事への関与を抑える形に見直す。

 また東芝はニュージェンへの出資比率を将来引き下げる方針を示してきたが、この取り組みを加速させる。出資には韓国電力公社が関心を示しているとされる。東芝幹部は「全面撤退を含めゼロベースで、今後の海外原発事業のあり方を検討する」と語った。

 一方、日英両政府による原子力分野での包括的協力では、東芝も対象企業となっている。政府との意見相違で、東芝のプロジェクト見直しが難航する可能性もある。

志賀会長退任へ


 東芝は、原子力発電事業を統括する志賀重範会長を退任させる方向で調整に入った。米原発事業で最大7000億円の損失が発生する見込みで、経営責任を明確化する。

人事の諮問機関である指名委員会で議論し、2016年4―12月期決算と合わせて早ければ2月14日に発表する。会長職は空席になる見込み。志賀会長は損失の発生源となったウエスチングハウス(WH)社長などを歴任した。現在のWH会長のダニー・ロデリック氏も退任する可能性が高い。綱川智社長は続投する方向で調整する。
日刊工業新聞2017年1月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
東芝は英国の原発事業において、当初、日立が出資するニューホライズンへの関心が高かった。ただ日立にとられたため、ニュージェンに出資したいきさつがある。当初からかなり荒っぽい戦略だった。そのつけを払わせれている。英国のEU離脱により原発計画そのものもどうなるか分からない(それは日立も同じ)。出資者が見つかれば御の字だ。

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