3Mの「テープ」や「スポンジ」セミナーが人気なのはなぜ?
ついついSNSで発信したくなる
スリーエムジャパン(東京都品川区、デニース・ラザフォード社長、03・6409・3800)は技術や製品をアピールするセミナーを通じ、参加者に短文投稿サイト「ツイッター」やフェイスブックで情報発信してもらう取り組みを活発化している。毎回テーマを設定し、独自の技術や製品を紹介。参加者は実際にユニークな製品を手に取り、性能などを“体感”できる。2017年も3、4回の開催を計画する。
同社は14年に「ざ・3Mセミナー」をスタートし、近く11回目を迎える。話題を提供し消費者に自由に発信してもらおうという試みは、知名度向上につながるとして米本社も関心を示す。率直な感想を期待するが、強制はせず謝礼もない。「厳しいご意見も覚悟するが、そもそも興味を持ってもらえないと発信すらしてもらえない」(コーポレートコミュニケーション部の鵜飼春菜さん)と明かす。
セミナーでこだわるのは「とにかく驚いてもらうこと」(同)。例えば1回目の「意外と知らないテープの歴史」では、同社の代名詞でもある「スコッチテープ」を皮切りに医療から建築、自動車まで幅広く採用されていることを訴求した。アクリルフォーム構造用の接合テープで貼り合わせたアルミ板を剥がそうとする体験では、その強力な接着力に、会場は参加者の歓声と熱気に包まれたという。
これを踏まえ、テーマも変化。最近は消費者になじみがあるテープや接着剤などのBツーC(対消費者)製品から、コンクリート給水養生用の水搬送シートや道路標識に使う反射材といったBツーB(企業間)製品にも広げてきた。いずれも核となる技術は公開できないものの、予備知識なしでも楽しめるよう工夫された“裏側”を含むストーリーと体験コーナーの2本柱が人気を支えている。
それでも「最初は参加者を集めるのも大変だった」(鵜飼さん)と振り返る。それが今は十数人の定員に対し20人以上が応募し「抽選させていただくまでに育った」(同)とうれしい悲鳴を上げる。参加者はセミナーと同時進行でツイートしたり、ブログやインスタグラムで扱ったりと発信スタイルはさまざま。これまでのところ、セミナー後1カ月の発信率は約8割と確かな手応えを得ている。
「見たままでなく、歴史や技術といった裏話が多い3M製品はブログなどとの親和性が高い」(同)ことも、早期の掲載につながる一因のようだ。繰り返し参加する人も出てきた。今のところ売り上げ増や利益の拡大に直接寄与はしないものの「3Mが持つ技術の深みを知ることで信頼感を持ってもらえればうれしい。参加してくれた方の発信を通し、3Mのファンが増えてほしい」(同)という。
(文=堀田創平)
同社は14年に「ざ・3Mセミナー」をスタートし、近く11回目を迎える。話題を提供し消費者に自由に発信してもらおうという試みは、知名度向上につながるとして米本社も関心を示す。率直な感想を期待するが、強制はせず謝礼もない。「厳しいご意見も覚悟するが、そもそも興味を持ってもらえないと発信すらしてもらえない」(コーポレートコミュニケーション部の鵜飼春菜さん)と明かす。
驚いてもらう
セミナーでこだわるのは「とにかく驚いてもらうこと」(同)。例えば1回目の「意外と知らないテープの歴史」では、同社の代名詞でもある「スコッチテープ」を皮切りに医療から建築、自動車まで幅広く採用されていることを訴求した。アクリルフォーム構造用の接合テープで貼り合わせたアルミ板を剥がそうとする体験では、その強力な接着力に、会場は参加者の歓声と熱気に包まれたという。
これを踏まえ、テーマも変化。最近は消費者になじみがあるテープや接着剤などのBツーC(対消費者)製品から、コンクリート給水養生用の水搬送シートや道路標識に使う反射材といったBツーB(企業間)製品にも広げてきた。いずれも核となる技術は公開できないものの、予備知識なしでも楽しめるよう工夫された“裏側”を含むストーリーと体験コーナーの2本柱が人気を支えている。
確かな手応え
それでも「最初は参加者を集めるのも大変だった」(鵜飼さん)と振り返る。それが今は十数人の定員に対し20人以上が応募し「抽選させていただくまでに育った」(同)とうれしい悲鳴を上げる。参加者はセミナーと同時進行でツイートしたり、ブログやインスタグラムで扱ったりと発信スタイルはさまざま。これまでのところ、セミナー後1カ月の発信率は約8割と確かな手応えを得ている。
「見たままでなく、歴史や技術といった裏話が多い3M製品はブログなどとの親和性が高い」(同)ことも、早期の掲載につながる一因のようだ。繰り返し参加する人も出てきた。今のところ売り上げ増や利益の拡大に直接寄与はしないものの「3Mが持つ技術の深みを知ることで信頼感を持ってもらえればうれしい。参加してくれた方の発信を通し、3Mのファンが増えてほしい」(同)という。
(文=堀田創平)
日刊工業新聞2017年1月27日