自動車業界、「稼ぐ力」を「投資する力」に!15年度の設備投資計画は?

乗用車7社は4・9%増の2兆9400億円、主要部品9社は3・4%増の8764億円

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トヨタは1兆2000億円を計画(燃料電池車「MIRAI」の生産ライン)
 乗用車7社(トヨタ自動車はダイハツ工業と日野自動車を含む)の2015年度の設備投資計画は前年度比4・9%増の2兆9400億円。スズキとマツダを除く全社が前年実績を上回る計画だ。14年度が13年度比1・9%増の微増にとどまったことから考えると今期は積極姿勢が強まる。特に新商品に絡む投資が目立つ。

 「質の伴う成長につなげていくために意志ある投資を進めたい」(豊田章男トヨタ社長)とするトヨタは、同1・9%増の1兆2000億円の計画。引き続き技術力や生産性向上への投資に振り向けるほか、年後半に投入する新設計手法「TNGA」を適用する第1弾モデルや、11年ぶりに全面刷新する新興国向け戦略車「IMVシリーズ」など主力車種の切り替えで投資を行う。

 日産自動車も「ブラジル、メキシコなど一連の新工場計画は完了し工場投資の割合は低水準になるが、商品や技術に関する投資が増える」(カルロス・ゴーン社長)としており、同18・8%増の5500億円を見込む。ホンダは投資内容を非公表としているが、近く建設が完了する中国やインドなど新興国を中心とした生産能力の増強に振り向けると見られ、同1・8%増の6700億円を計画する。

 トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの大手自動車メーカーとの取引が多い系列部品メーカーの設備投資は、海外投資の一服などにより一部の企業で減少するが、全般的には高水準を維持する。各系列の主要9社(デンソー、アイシン精機、豊田自動織機、カルソニックカンセイ、ユニプレス、河西工業、テイ・エステック、ケーヒン、ショーワ)の16年3月期の設備投資計画の合計額は、前期比3・4%増の8764億円とわずかながら拡大する見通しだ。

 伸びが目立つのはアイシン精機。16年3月期の設備投資は同31・1%増の3250億円を見込む。特に国内向けが同85・4%増の2283億円と大幅に増える。同社の藤森文雄社長は「AT(自動変速機)は現地生産しづらい。ATの販売台数が増えそうなので国内で強化する」と強調する。

 ホンダ系のテイ・エステックは中国・広州のシート工場の移転を控えており、16年3月期の設備投資は同2・3%増の215億円を計画。ショーワは北米でダンパーの新機種生産に伴う投資が拡大し、同13・6%増の157億円を予定する。
 
※日刊工業新聞では業界別に「点検・設備投資」を掲載中
 

日刊工業新聞2015年05月26日「点検・設備投資」から一部抜粋

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

2006年度に国内自動車大手7社(連結)の設備投資合計額は、史上初めて3兆円を突破した。今回はそれに匹敵する水準。トヨタも当時は1兆5000億円で、その後、「兵站線」が伸びてリーマンへ突入していく。今回はその教訓もあり、「質の伴う成長につなげていくために意志ある投資を進めたい」(豊田章男トヨタ社長)と言葉につながっているのだろう。

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