「東電の自立的経営は火力完全統合の判断材料になる」(中部電力社長)

勝野哲社長に聞く「双方にメリットがなくてはいけない」

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勝野哲社長
 ―2016年の電力に続き、17年はガス小売りも自由化されます。
 「エネルギーの安定供給という使命の完遂と、ICT(情報通信技術)時代の新たな価値創出の二つが経営のテーマ。家庭にスマートメーター(通信機能付き電力量計)の設置が進み、電気の利用が見えやすくなる。電力の予測制御や顧客ごとの停電状況把握など、付加価値の創出に務める」

 ―中部地域でガス小売りに参入します。
 「顧客への聞き取りでは、事業者を選ぶ基準として価格が3割、保安や安全体制が5割だった。保安体制の整備は重要で実績のある岩谷産業と提携した。顧客にワンストップで対応できる体制をつくり、5年間で10万件の契約獲得を目指す」

 ―国の進める東京電力改革で、事業提携先として中部電力も有力視されます。
 「(福島第一原子力発電所の)損害賠償や廃炉などの費用が膨らむ中で東電の事業計画の前提は変わっており、(提携先を探すのは)やむを得ないのではないか。ただ連携は、双方にメリットがなくてはいけない。国の有識者会議の提言を受け、東電が策定中の新しい総合特別事業計画を注視する」

 ―東電と共同出資する「JERA(ジェラ)」に、両電力の火力発電事業を完全統合するかを3月末までに決めます。
 「JERAの趣旨はグローバルなエネルギー企業として燃料調達などで成果を出し、安定供給につなげること。この点を東電の新事業計画に盛り込んでいただきたい。東電の自立的経営は火力完全統合の判断材料になる」

 ―浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の再稼働に向けた審査が遅れています。
 「審査は加圧水型原子炉(PWR)が先行し、浜岡など沸騰水型原子炉(BWR)が遅れているのは事実。当社の順番が来たら速やかに判断してもらえるよう、他社の審査を見て反映できることは事前に反映するなどの取り組みを進めている」

日刊工業新聞2017年1月26日

COMMENT

JERAに既設の火力発電事業を統合するか否か、という判断の時期が迫る。ただ原発事故問題を抱える東電への国の関与は長引き、「純民間同士の提携」(勝野社長)には不安もくすぶる。浜岡原発再稼働が見通しにくい中、火力統合で明確に成長路線を打ち出せるか、中部電にとって重要な局面を迎える。

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