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公共交通機関もインバウンド頼み?

長野県がジョルダンとアプリを開発へ
 長野県は、ソフト開発会社「ジョルダン」(東京)と連携し、県内のバス、鉄道路線の乗り換え案内情報を検索できるスマートフォン向けアプリを開発する方針を決めた。県内全域をカバーし、コミュニティーバスの路線も網羅。県によると、国内最大級の情報量を誇る交通案内アプリになるという。「走行ルートや所要時間が分かりにくい」といった声に対応。誘致に力を入れる訪日外国人客にも利用しやすい環境を整える。

 アプリの運用開始は4月以降の予定。県内では、人口減少などによる路線バスの撤退に伴い、コミュニティーバスが地域の足として普及しているが、地域外の人や観光客には利用しづらいのが実情だ。不便さの解消を通じて利用者を増やし、公共交通網の維持につなげる狙いもある。

 アプリをダウンロードすると、現在地から最寄りのバス停を検索したり、目的地までの乗り換え案内を表示したりできる。県の公式観光サイトとも連動させ、停留所や乗り継ぎ地点周辺の観光情報も併せて紹介する。

 ダウンロードは無料で、日本語の他、英語、韓国語、中国語、タイ語に対応。把握が困難なコミュニティーバスの運行情報は県が市町村に提供を要請。県の担当者は「観光客や地域外の方が積極的に町歩きする一助になれば」と期待している。

日刊工業新聞2017年1月25日
尾本憲由
尾本憲由 Omoto Noriyoshi 大阪支社編集局経済部
外国人観光客もリピーターが増え、行き先は多様化している。そんな中、使い勝手の良い公共交通機関はインバウンド誘致に有効だろう。一方で住民の生活を支えきた公共交通機関も、モータリゼーションや少子高齢化の波に飲まれ、多くの地方で存続が危ぶまれている。インバウンドが増えれば公共交通機関の利用者が増え、住民の足も存在できる。そんな関係が生まれてきそう。

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