全国初、入居者が「エネファーム」の電力を融通するマンションが登場!

静岡県長泉町で。東レ建設「地方でこそやる意味がある」。

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東京ガスのエネファーム公式ページより
 入居者が家庭用燃料電池「エネファーム」の電力を融通する国内初のマンションが3月、静岡県長泉町で完成する。エネファーム190台を制御するエネルギー管理システム(EMS)を、静岡ガスとパナソニックが開発した。太陽光発電と蓄電池を連携するEMSは富士電機が導入。最新技術を備えたマンションを分譲する東レ建設(大阪市北区)の北川康孝技術部長は、「地方でやる意味がある」と話す。技術力を誇示する“フラッグシップ”ではないからだ。

 東レ建設のマンション名は「シャリエ長泉グランマークス」で、2棟190戸を分譲する。1棟目への入居が3月末に始まり、2棟目は2018年3月の完成予定。

 全戸に設置したエネファームは、1台当たり最大700ワットを発電できる。ある家庭の電力需要が1000ワットに跳ね上がり、エネファームの電力では300ワット不足したとする。通常なら電力会社から購入して、不足分を埋め合わせする。

 静岡ガスなどが開発したEMS「T―グリッドシステム」は、マンション内に500ワットや600ワットで運転中の余力のあるエネファームを探す。見つけ出したエネファームに発電量を増やすように指示し、増えた電力を建物内の配線を通して不足する家庭へ融通する。

 ただ、マンション購入者はファミリー層が多く、各戸の起床や帰宅時間が重なるので、電力使用パターンに違いが出にくい。通常、電力は30分単位の計測なので、使用量の差も見えにくく、融通の頻度は少なそう。
                   


 静岡ガスの土橋亮太スマートコミュニティ開発担当副課長は「T―グリッドはマンションの受電量を常時監視するので、家族構成が似た世帯でも使用電力の違いを捉えられる」と説明する。しかも、1分周期でエネファームを制御するので、瞬間的な変動にも対応し、頻繁な融通を可能にした。

 融通分は静岡ガスへの売電に換算され、電気・ガス代の支払いが減る。「節電して融通できる家庭ほど、メリットが出る」(東レ建設の北川部長)仕組みだ。マンション全体でも、電力会社からの電力購入が60%減る。一次エネルギー消費は25%減、二酸化炭素排出量30%減る見込み。

 エレベーターや廊下など共用部の電力も、外部購入を抑える。屋上にフジプレアムの太陽光発電があり、エリーパワー(東京都品川区)の大型蓄電池も備える。富士電機のEMSが発電した電力を蓄電池に充電し、電力がもっとも使われる時間帯や、発電量が低下した時に放電して共用部の電力を賄う。

 他社は最新鋭のエネルギー設備を備えたマンションを、確実な需要が見込める都市部で分譲している。東レ建設は同社最新のマンションを、地方に建設した。地方でも利便性を求めてマンションへのニーズが高まっており、当初から地方で通用する仕様を追求した。「静岡ガスと何年も検討してきた」(北川部長)ため、技術的な完成度も高く、全国で展開できると見込む。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2017年1月25日

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松木喬
編集局第二産業部
編集委員

通常、エネファームは1台が一軒に電力を供給します。ただし、いつもフル稼働しているとは限りません。最大出力が700wなら700wで定格で動いていた方が、燃料の無駄が少ないですが、電気が使われない時間帯があるので、発電が減って効率が落ちる時間帯があります。東レ建設のマンションのように「融通」の仕組みがあると、1台当たりの稼働が増え、効率が上がります。エネファームの能力を引き出すのが、融通のメリットです。

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