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ボールの動きを予測、未来の軌跡をARで映し出す

これでホームランかすぐ分かっちゃう!?交通ルートや津波の予測にも
 慶応義塾大学理工学部の伊藤勇太特任助教らは、現実世界のボールの動きを予測して、未来の軌跡をAR(拡張現実)技術で映し出すシステム「ラプラシアンビジョン」を開発した。モノの動きをコンピューターで解析し、シースルー型ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)でリアルタイムに表示する。野球でバッターが打った直後にホームランになるか、飛行軌跡を表示できるようになるほか、交通ルートや津波の予測などにも応用が期待できる。

 シースルー型HMDと物理シミュレーションを組み合わせた。ボールの動きを計測して軌跡をシミュレーションし、ユーザー視点の映像に変換してHMDに表示する。物理シミュレーションを簡略化し、計測から表示までの計算時間を短縮した。ボールが通過した部分の軌跡を消して、新しく先の軌跡を表示するなど、ほぼ遅延を感じずにリアルタイムに更新できる。

 今回、計測システムに光学式のモーション・キャプチャーシステムを利用した。野球やラグビーなどのスタジアムで行うスポーツは高解像カメラで代替可能。打球の落下地点を選手や観客に教えて、キャッチできるかどうか成功率を表示するなど、スポーツ演出の幅を広げることができる。

 津波や交通ルートの予測では、IoT(モノのインターネット)やネットワークと連携して、少し先の未来をシミュレーションしHMDでガイドする。自動運転のインターフェースなどに提案していく。
            


日刊工業新聞2017年1月23日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
未来が見えると便利です。その原型システムを物理シミュレーションとARを組み合わせて実現しました。いまは大がかりな計測系と簡易なシミュレーションを使っていますが、IoT化が進むと簡易な計測系と大規模なシミュレーションが使えるようになります。運動軌跡だけでなく、装置不具合やコミュニケーションなどの未来も見えるようになるかもしれません。「実現確率6割以上で表示する」など、見たい未来を確実性で表示を切り替えるのか、「直進7割、左折2割、急ブレーキ1割」など、いくつもの未来を確率付きで表示するのか。未来の見せ方もいろいろ準備しないといけません。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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