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沿線地域に関係なくても…私鉄が宿泊特化型のホテルを拡大

沿線地域に関係なくても…私鉄が宿泊特化型のホテルを拡大

京急が19年春に東京・浜松町に開業する京急EXイン

 京浜急行電鉄はホテル事業を強化し、宿泊特化型の「京急EXイン」を中心に、2020年までに客室を約3000室まで拡大する。1月には京急EXインとして12軒目となる「横須賀リサーチパーク」、17年度中には羽田に13軒目のホテルを開業。19年春には東京・浜松町に客室135室のホテルを開業(イメージ)。19年春までに、京急EXインの総客室数が、2914室まで拡大する計画だ。

 京浜急行電鉄は16年8月に、東京・東銀座に198室のホテルを開業。現在、11軒のホテルを運営しており、客室数は約2400室となっている。17年1月中に開業する計画の横須賀リサーチパークは67室、羽田は313室の予定。19年春には、目標まで約100室のところに迫る。

 京浜急行電鉄は、東京・台場に「グランパシフィック」のブランドでシティーホテルを運営していたが、16年5月に売却。訪日外国人旅行者(インバウンド)の拡大などで、東京を中心にホテル不足が顕著となっていることから、ブランドを宿泊特化型の京急EXインに集約して、客室数の拡大を図っている。

相鉄HDは宿泊特化型ホテルに力を注ぐ(相鉄フレッサイン銀座七丁目)

 相鉄ホールディングス(HD)は2020年3月までに、宴会場やレストランを持たない宿泊特化型ホテルの直営店舗を、現在の34店舗から50店舗以上に拡大する。現在、宿泊特化型の「相鉄フレッサイン」で、10店舗の出店が決定しており、直営店は44店舗まで拡大する見通し。訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加を背景に、東京や大阪などを中心にホテルが不足している。相鉄HDは宿泊特化型を全国展開し、相模鉄道沿線以外にも事業エリアを広げる。

 相鉄ホールディングスはグループ会社の相鉄イン(横浜市西区、吉田修社長、045・319・2031)を通じて、宿泊特化型ホテル事業を拡大する。相鉄インは4月、京都に相鉄フレッサインを2店舗出店する計画。さらに、17年中には東京の上野や銀座などに4店舗を出店し、23店舗まで拡大する。他のホテルブランドを含めると、40店舗まで増える。また、18年には大阪に進出し、3店舗を構える考えだ。

 相鉄HDのホテル事業の売上高に当たる営業収益は、16年3月期に前期比39・0%増の360億円と、全体の営業収益の14%を占めている。また、ホテル事業の16年4―9月期の営業収益は、前年同期比7・4%増の189億円と、事業規模を順調に拡大している。

 相鉄HDは14年に、ホテルチェーンのサンルートを買収。フランチャイズで運営しており、直営の相鉄フレッサインの出店を強化することで、さらにホテル事業全体の事業規模を拡大する。
日刊工業新聞2017年1月12、18日 建設・エネルギー・生活面を加筆修正
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
鉄道各社では、訪日外国人の拡大などでホテル需要が高まっていることに対応し、ホテル事業を強化しています。中でも私鉄は、沿線地域に関係なく、ホテルの開発を進めており、事業エリアが拡大していることが特徴です。

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