なぜ今、紙・板紙輸出が過去最高に?
アジア向けに段ボール需要が高まる。製紙大手のM&Aも後押し
2016年の紙・板紙輸出が02年に記録した133万4000トンを上回り、過去最高になる見通しだ。日本製紙連合会の需給速報によると、16年1―11月の紙・板紙輸出は前年同期比16・9%増の125万6000トン。1カ月を残して前年実績の116万6000トン超となり、過去最高まで7万8000トンに迫った。輸出をけん引するのは産業用の板紙。アジアの新興国を中心に、段ボール向け需要が高まっている。
16年11月の紙・板紙輸出は前年同月比21・1%増の11万3000トンで11カ月連続の増加。紙が同9・0%増の7万4000トンで2カ月連続、板紙が同52・7%増の4万トンで14カ月連続の増加だった。板紙の大部分を占める段ボール原紙は同52・3%増の3万7700トンで00年6月以来、16年5カ月ぶりに単月で過去最高を更新した。
紙の内需は情報化の進展に伴い、宣伝広告や業務系の印刷需要が減り続けているのに対し、産業用の板紙は最大用途である加工食品や日用雑貨のパッケージで安定需要があり、通信販売向けも拡大基調。それに加え、海外市場が膨らむ。生産量はここ数年、紙が逓減、板紙が逓増で推移し、板紙の比率が徐々に高まっている。
紙・板紙を合わせた内需は00年がピーク。全体の輸出が過去最高を記録した02年当時、製紙会社にとって輸出は需給調整の手段だった。
その後、国内市場の縮小により業界再編が進み、製紙大手はそれに合わせて海外事業を本格的に模索するようになる。為替相場の円高が続いて国内製造業の海外展開が加速したこともあり、産業用の板紙はいわゆるひも付き(特定需要家向け)から輸出が増加した。
東南アジア諸国の経済発展に対応する手っ取り早い海外事業拡大策として、製紙大手が段ボールメーカーなど川下分野を含め、積極的なM&A(合併・買収)に動いたことも輸出増の背景だ。
日本製紙と特種東海製紙の産業用紙販売会社、日本東海インダストリアルペーパーサプライの武藤悟社長(日本紙執行役員)は「段ボール原紙の中でも付加価値の高いライナー(外装用紙)の輸出が増えている。
ひも付きの日系メーカー向け供給をきっかけに、現地メーカーからも品質で高く評価されるようになった」と説明し、さらなる事業拡大に意欲をみせる。
(文=青柳一弘)
16年11月の紙・板紙輸出は前年同月比21・1%増の11万3000トンで11カ月連続の増加。紙が同9・0%増の7万4000トンで2カ月連続、板紙が同52・7%増の4万トンで14カ月連続の増加だった。板紙の大部分を占める段ボール原紙は同52・3%増の3万7700トンで00年6月以来、16年5カ月ぶりに単月で過去最高を更新した。
紙の内需は情報化の進展に伴い、宣伝広告や業務系の印刷需要が減り続けているのに対し、産業用の板紙は最大用途である加工食品や日用雑貨のパッケージで安定需要があり、通信販売向けも拡大基調。それに加え、海外市場が膨らむ。生産量はここ数年、紙が逓減、板紙が逓増で推移し、板紙の比率が徐々に高まっている。
内需のピークは00年、変わる産業構造
紙・板紙を合わせた内需は00年がピーク。全体の輸出が過去最高を記録した02年当時、製紙会社にとって輸出は需給調整の手段だった。
その後、国内市場の縮小により業界再編が進み、製紙大手はそれに合わせて海外事業を本格的に模索するようになる。為替相場の円高が続いて国内製造業の海外展開が加速したこともあり、産業用の板紙はいわゆるひも付き(特定需要家向け)から輸出が増加した。
東南アジア諸国の経済発展に対応する手っ取り早い海外事業拡大策として、製紙大手が段ボールメーカーなど川下分野を含め、積極的なM&A(合併・買収)に動いたことも輸出増の背景だ。
日本製紙と特種東海製紙の産業用紙販売会社、日本東海インダストリアルペーパーサプライの武藤悟社長(日本紙執行役員)は「段ボール原紙の中でも付加価値の高いライナー(外装用紙)の輸出が増えている。
ひも付きの日系メーカー向け供給をきっかけに、現地メーカーからも品質で高く評価されるようになった」と説明し、さらなる事業拡大に意欲をみせる。
(文=青柳一弘)