4年連続の賃上げなるか

2017年春闘、経営側の交渉指針まとまる

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会見する工藤委員長
 経団連は17日、経営側の2017年春闘の指針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を正式発表した。利益が拡大した企業や中長期的に利益体質が改善している企業には16年に引き続き「年収ベースの賃上げを前向きに検討することを求めたい」と4年連続の賃上げを要請した。他方、賃上げを消費拡大、デフレからの脱却につなげるには企業や家計が抱く将来不安の払拭(ふっしょく)が不可欠と強調。政府に社会保障制度改革などを急ぐよう求めた。

 記者会見した経団連の工藤泰三副会長・経労委委員長(日本郵船会長)は、今回の経労委報告について「経済の好循環を力強く回すべく賃金引き上げのモメンタム(勢い)を継続していく必要がある」と述べた。

 16年の経労委報告では、賃金体系全体を底上げするベースアップ(ベア)について「(これに)限られずさまざまな選択肢が考えられる」と捉えていた。ところが今回は「4年連続のベア実施」に強いこだわりを示す安倍晋三政権の意向を反映し、具体的な賃上げ方法は「定期昇給や制度昇給、ベア、賞与・一時金の増額、諸手当の見直しが柱となる」と踏み込んだ表現で求めた。

 一方で、3年連続の賃上げにもかかわらず個人消費が上向いていないのは「社会保障制度や教育費負担などに対する強い『将来不安』が生じているため」と指摘。将来不安を払拭できないまま賃上げが実現しても「効果は限定的」と指摘した。

 安倍首相が賃上げに「期待物価上昇率」を勘案するよう求めていたことに対しては「労使ともに耳になじみがない言葉」(工藤副会長)と本音を漏らし「予想物価上昇率を議論の対象とすることも考えられる」と表現した。

日刊工業新聞2017年1月18日

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

賃上げだけでは消費喚起、デフレ脱却にはつながらない-。今回の指針の最大の特徴は、政府に対し社会保障制度改革をはじめ、企業や家計が抱く将来不安の払拭に全力を挙げるよう求めた点です。

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