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ツネイシHD、客船事業に参入。秋に瀬戸内海周遊船を就航

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 ツネイシホールディングス(HD)は客船事業に参入する。傘下の常石造船(広島県福山市)が瀬戸内海を周遊するクルーズ客船を建造、2017年9月をめどに就航させる計画だ。建造費は非公表だが、数十億円規模とみられる。新造船の受注と海運業が低迷する中、地元の瀬戸内海を中心とした地域資源を取り入れた観光事業でテコ入れし、ツネイシHD全体の収益源に育てる。

 16日、常石造船やツネイシHDの関係会社で船舶運航を担う、せとうちクルーズ(広島県尾道市)が新造船「ガンツウ=写真」の進水式を開いた。16年7月から建造しているガンツウは尾道の方言で小さなイシガニを意味するという。今後、内装工事に着手する。

 全室でオーシャンビューを楽しめるガンツウの客室は全19室。尾道を出発後、広島県内有数の観光名所、宮島や呉などを就航するほか、岡山県や山口県方面も遊覧する予定で、国内外の富裕層の呼び込みを狙う。
日刊工業新聞2017年1月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
 常石の足元の造船事業は厳しい。主力のバルクキャリアなど(ばら積み貨物船)の受注環境は環境規制の駆け込み需要の反動で16年以降は下がった。祖業の海運もドライバルク船(ばら積み船)が15年後半から市況が暴落。一方で、ラインアップの拡充に力を入れている。バルクキャリアで培った省エネ技術を応用し、タンカーやコンテナ運搬船、客船で新ルールに対応した新規開発船を投入する計画。  この20年間でグループ全体の売上高は2・5倍から3倍の規模になった。造船や海運以外の環境、エネルギー、ライフ&リゾートなどは比較的堅調だ。

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