ビールだけじゃやっぱり限界?2強にアサヒも缶チューハイ拡大
ビール系3酒、初の「全マイナス」 16年の出荷2.4%減
ビール国内大手の2016年課税出荷数量は、ビール類が前年比2・4%減の4億1476万5000ケース(1ケースは大瓶20本換算)で12年連続減少、ビールも同2・0%減の2億1070万2000ケースと15年のプラスから再びマイナスになった。発泡酒も同6・8%減の5730万3000ケース、第三のビールも同1・2%減の1億4675万9000ケースで、全カテゴリーが減少。ビール類離れに歯止めがかからない。
全カテゴリーの減少は03年に第三のビールが登場してから、初めて。若年層の好みがビールから缶チューハイへシフト、消費者の節約志向で居酒屋が不振なのも響いた。缶チューハイは業界推定で同11%増と2ケタ増だ。
そこでビール大手が、缶チューハイ事業の拡充に乗り出す。酒税の違いから店頭価格は350ミリリットル缶でビールより約50円安いほか、季節限定の原材料などを採用しやすく差別化も容易だ。缶チューハイをビールに次ぐ柱に育てる動きは、止まりそうにない。
16年のビール類消費量は、前年比2%程度のマイナスになったと見られる。サントリービールの水谷徹社長は「天候不順の影響などもあるが、缶チューハイに需要が流れた」と、影響を認める。
東京五輪・パラリンピックが行われる20年を含めビール税は多少下がるが、基本的に缶チューハイと価格差は残る。このため、キリンビールの布施孝之社長は「低価格の強み」を発揮できると見る。キリンは17年に、缶チューハイ主力の「氷結」で前年比6・3%増の3730万ケースを目指す。2ブランドを2月に刷新するほか、果実系商品を強化する。
サントリーグループのサントリースピリッツは、アルコール度数が9%と高い商品に力を入れる。また、食中酒ユーザーは果実感を求めるタイプと甘くない味を求める二つがあると見て、それぞれの商品を強化する。
キリンとサントリーの2強を追うアサヒビールは、基幹ブランドとして16年4月に発売の「もぎたて」が、年間706万ケースを売るヒット。17年は1100万ケースを目指す。平野伸一アサヒ社長は「2強に伍(ご)していくにはさらに上の数字が必要」と強気だ。
(文=嶋田歩)
全カテゴリーの減少は03年に第三のビールが登場してから、初めて。若年層の好みがビールから缶チューハイへシフト、消費者の節約志向で居酒屋が不振なのも響いた。缶チューハイは業界推定で同11%増と2ケタ増だ。
そこでビール大手が、缶チューハイ事業の拡充に乗り出す。酒税の違いから店頭価格は350ミリリットル缶でビールより約50円安いほか、季節限定の原材料などを採用しやすく差別化も容易だ。缶チューハイをビールに次ぐ柱に育てる動きは、止まりそうにない。
16年のビール類消費量は、前年比2%程度のマイナスになったと見られる。サントリービールの水谷徹社長は「天候不順の影響などもあるが、缶チューハイに需要が流れた」と、影響を認める。
東京五輪・パラリンピックが行われる20年を含めビール税は多少下がるが、基本的に缶チューハイと価格差は残る。このため、キリンビールの布施孝之社長は「低価格の強み」を発揮できると見る。キリンは17年に、缶チューハイ主力の「氷結」で前年比6・3%増の3730万ケースを目指す。2ブランドを2月に刷新するほか、果実系商品を強化する。
サントリーグループのサントリースピリッツは、アルコール度数が9%と高い商品に力を入れる。また、食中酒ユーザーは果実感を求めるタイプと甘くない味を求める二つがあると見て、それぞれの商品を強化する。
キリンとサントリーの2強を追うアサヒビールは、基幹ブランドとして16年4月に発売の「もぎたて」が、年間706万ケースを売るヒット。17年は1100万ケースを目指す。平野伸一アサヒ社長は「2強に伍(ご)していくにはさらに上の数字が必要」と強気だ。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2017年1月16日