ニュースイッチ

自動車部品の金属から樹脂への流れに乗れ!“スーパー繊維”向け抜き型

ハガタ屋、厚み10cm対応。歯車のメーカーなどに提案
 ハガタ屋(香川県東かがわ市、喜岡達社長)は、高強度・高弾性の特性を持つスーパー繊維の単一厚物素材を打ち抜く専用抜き型を開発、受注を始めた。厚み10センチメートルまでの積層しない単一素材を打ち抜くことができる。価格は個別見積もりの対応となるが、直径10センチ×高さ5センチメートルの抜き型で約100万円(消費税抜き)からを想定する。

 ハガタ屋は自動車用トランスミッションなどで今後、スーパー繊維を用いた樹脂歯車の利用が広がると判断し、専用抜き型を開発した。自動車用歯車のメーカーなどに提案していく。

 現在、一部の自動車の部品にスーパー繊維織物の積層素材を使った樹脂が使用されている。ただ、より強度が必要なトランスミッションの歯車での使用は、積層素材の層間剥離が起こるなどの課題があり、単一で肉厚の素材を抜く型が求められている。

 同社は鍛造抜き型のメーカー。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の打ち抜き型を手がけるほか、アラミドやポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)など各種スーパー繊維の素材に応じた刃先を製作。重ね抜きや積層素材に対応した抜き型を製造している。

日刊工業新聞2017年1月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
エンジンやトランスミッション、ブレーキ関連の金属部品を新素材に変えることでで燃費改善、耐久性向上のほか部品の機能統合によりコスト削減が可能になる。ハガタ屋は日本刀などで使われる伝統製法の鍛えて砥(と)いで仕上げる手作り鍛造抜き型を製造している。社長の喜岡達さんが叔父の工場で修業後、19歳で1967年に創業。09年からはCFRPやスーパー繊維の打ち抜きに挑んだ。「素材分析、鋼の曲げ、焼き入れ、研磨などを学ぶため日本国中の刃物の生産地をまわり、頭を下げて話を聞き現場を見た。試作品は100個以上で試行錯誤の連続だった」と喜岡社長。今ではスーパー繊維を使った防弾チョッキや防刃衣料も難なく打ち抜く。強度が鉄の約10倍といわれるCFRP約1500枚を打ち抜く耐久性があるという。

編集部のおすすめ