累計500万DL突破の地震対策アプリ、「熊本」受け災害弱者にも優しく
音や画面通知を区別しやすいよう改善
アールシーソリューション(東京都新宿区、栗山章社長)は、情報通信技術(ICT)を生かした防災や減災サービスを提供している。緊急地震速報を基に、推定震度と揺れの予想到達時間を通知するスマートフォン向けアプリケーション(応用ソフト)のダウンロード数が、累計で500万を超える。多くの利用者を抱えているが、使いやすさでの盲点に気づかされる出来事があった。2016年4月に起きた熊本地震だ。
被災地で余震が繰り返し発生していたころ、同アプリ「ゆれくるコール」を利用する目の不自由な住民から連絡が入った。大きな揺れでも、比較的小さな揺れでも通知音が同じだったため、どれぐらいの揺れなのかを区別するのが難しいことに対する改善を望む声だった。
「(利用者の)足元が揺れ続けている」(栗山社長)状況に迅速に対応し、震度5弱以上と同4以下で通知音を変えられるようにした。
震度を表示する画面も色覚障害者に配慮して改善している。見えやすい色を取り入れることで確認しやすくした。気象庁が発表している画面の色使いを踏まえているという。災害弱者の利用をこれまで以上に重視し、利便性を高めた。
7年前にゆれくるコールの提供を始めて以降、11年に東日本大震災も発生し、利用者を伸ばし続けている。あらかじめ設定した場所の予想震度や揺れの到達時間を通知するのに加え、地震の発生時に役立つ機能を拡充してきた。
安否状況を地図上に表示でき、利用者自身の居場所を知らせるだけでなく、家族などの居場所を確認できる。地震に関連するつぶやきも集計して表示することで、スムーズな避難や救助活動につなげる。
また、アールシーソリューションはゆれくるコールを通じ、電通と連携した防災対策にも乗り出した。ゆれくるコールのメニューに、防災情報などを提供する電通のサービス「+ソナエ」を追加。地震が起きた際に必要な情報や普段から確認しておきたい知識がイラスト入りで分かりやすく紹介されており、薄れがちな防災に対する意識を高められる。
緊急地震速報の通知と連携する仕組みも導入した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して、家族や友人と+ソナエの内容を共有できるようにした。
今後、育児中の保護者や一人暮らしの高齢者など特定の利用者を対象にした情報も+ソナエを通じて提供する予定。「地震の発生直後以外でも、ゆれくるコールの利用が増える」(栗山社長)ことを見込む。
南海トラフ地震など巨大地震の発生が懸念されており、揺れや津波に備える意識が求められている。常に持ち歩くスマホ向けのゆれくるコールが、手軽で有効な防災サービスのため重要性が増している。豊富な防災情報の発信が、利用者を拡大することにつながりそうだ。
(文=孝志勇輔)
被災地で余震が繰り返し発生していたころ、同アプリ「ゆれくるコール」を利用する目の不自由な住民から連絡が入った。大きな揺れでも、比較的小さな揺れでも通知音が同じだったため、どれぐらいの揺れなのかを区別するのが難しいことに対する改善を望む声だった。
「(利用者の)足元が揺れ続けている」(栗山社長)状況に迅速に対応し、震度5弱以上と同4以下で通知音を変えられるようにした。
震度を表示する画面も色覚障害者に配慮して改善している。見えやすい色を取り入れることで確認しやすくした。気象庁が発表している画面の色使いを踏まえているという。災害弱者の利用をこれまで以上に重視し、利便性を高めた。
7年前にゆれくるコールの提供を始めて以降、11年に東日本大震災も発生し、利用者を伸ばし続けている。あらかじめ設定した場所の予想震度や揺れの到達時間を通知するのに加え、地震の発生時に役立つ機能を拡充してきた。
安否状況を地図上に表示でき、利用者自身の居場所を知らせるだけでなく、家族などの居場所を確認できる。地震に関連するつぶやきも集計して表示することで、スムーズな避難や救助活動につなげる。
また、アールシーソリューションはゆれくるコールを通じ、電通と連携した防災対策にも乗り出した。ゆれくるコールのメニューに、防災情報などを提供する電通のサービス「+ソナエ」を追加。地震が起きた際に必要な情報や普段から確認しておきたい知識がイラスト入りで分かりやすく紹介されており、薄れがちな防災に対する意識を高められる。
緊急地震速報の通知と連携する仕組みも導入した。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して、家族や友人と+ソナエの内容を共有できるようにした。
今後、育児中の保護者や一人暮らしの高齢者など特定の利用者を対象にした情報も+ソナエを通じて提供する予定。「地震の発生直後以外でも、ゆれくるコールの利用が増える」(栗山社長)ことを見込む。
南海トラフ地震など巨大地震の発生が懸念されており、揺れや津波に備える意識が求められている。常に持ち歩くスマホ向けのゆれくるコールが、手軽で有効な防災サービスのため重要性が増している。豊富な防災情報の発信が、利用者を拡大することにつながりそうだ。
(文=孝志勇輔)
日刊工業新聞 2017年1月9日