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「最高益・川重」を悩ます課題事業

金花芳則社長に聞く。「(不振の船舶海洋)はまだ討議する必要がある」
 ―為替の振れ幅が大きくなっています。
 「社内的には1ドル=100円で数字の積み上げができるようにと指示している。100円の想定レートで目標を達成するには、どの程度の収益性向上が必要かを考えて策を打っていく。結果として100円を上回ってもそれはあくまでボーナス。一定水準で安定するのが望ましい」

 ―不振の船舶海洋事業はゼロベースで見直し、2016年度中に結論を出します。
 「まだまだ討議する必要がある。ただ、中国の合弁造船会社である南通中遠川崎船舶工程(NACKS)と大連中遠川崎船舶工程(DACKS)は、坂出工場(香川県坂出市)からの技術移転も進んで一体運営が拡大している。仮に、坂出を閉めれば、両社にとって川重の存在価値は薄れてしまう。合弁2社が稼ぐ利益を考えても坂出は重要だ」

 ―民間航空機市場は踊り場との見方もあります。足元の状況は。
 「1―2年先まで受注は見えており、今後はコストダウンがカギだ。米ボーイングに生産ラインの自動化を提案するなど、完成機メーカーと共同で生産改善に取り組んでいる。設備投資では名古屋第一工場(愛知県弥富市)でボーイングの次世代大型機『777X』向け新工場の整備も進めており、大型案件は一巡した」

 ―鉄道車両ではメンテナンス事業の本格化を指向しています。
 「IoT(モノのインターネット)技術などを駆使して、車両情報を収集するシステムを開発中。同技術を取り入れたメンテナンスサービスをアジアや米国などで提案する。米国では同事業を本格化するため、現地企業の買収も検討している」

 ―急成長しているロボット事業の展望は。
 「人と共存できるロボット『デュアロ』に期待している。特に伸びそうなのが中国での販売だ。16年末には重慶市での現地生産も始めた。中国ではロボットの需要がさらに拡大する。開発中の手術用ロボットも大きな可能性を秘めている。小型にするため、これまでロボットを導入できなかった病院にも受け入れられるはず。5年をめどにロボット関連の売上高を倍増させる」
(文=長塚崇寛)
日刊工業新聞2017年1月6日
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
過去最高水準で着地した前期の業績から一転、今期は利益面で苦戦が続く。原因は円高と船舶海洋事業だ。同事業の市場環境は厳しいが、環境規制に伴う新造船需要の拡大や地域経済への影響などを勘案すると撤退は見えづらい。液化天然ガス(LNG)船など高付加価値船の強化や生産合理化が、落としどころとなりそうか。

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