シャープのディスプレー事業、怒濤の拡大戦略へ
鴻海が中国へ1.5兆円の大規模投資。「8K」製造
台湾・鴻海精密工業は2016年末に子会社化した「堺ディスプレイプロダクト」(SDP、堺市堺区)を通じ、19年に中国広東省広州市で総額610億人民元(約1兆200億円)を投資する大型液晶パネル工場を稼働する。10・5世代と呼ばれる大型ガラス基板を採用し、フルハイビジョンの16倍の解像度の「8K」ディスプレーを製造する。年産能力は最大で920億元(約1兆5400億円)相当に達するとしている。
SDPと広州市が、同市の増城区に8Kディスプレー関連の工場集積地を建設する枠組みに合意した。SDPは鴻海傘下で経営再建中のシャープと共同運営していた大型液晶工場。鴻海は16年末にSDPへの出資率を引き上げて株式の過半を取得した。
17年以降はSDPからサムスン電子などに供給してきたパネル外販を減らす方針で、大型液晶とテレビ事業で攻勢に出る。18年度中にSDPのパネルを使った8Kテレビをシャープから発売し、テレビ販売を1000万台に延ばす計画。
大型液晶パネル市場は韓国サムスン電子が工場を閉鎖して、有機エレクトロル・ミネッセンス(EL)パネルにシフトする影響などで、足元の需給が逼迫(ひっぱく)している。
ただ、18年以降は中国で大型液晶工場が次々と立ち上がる見通しで、供給過剰になるとの見方もある。
台湾・鴻海精密工業グループは、シャープと共同運営する大型液晶工場「堺ディスプレイプロダクト=写真」(SDP、堺市堺区)の株式の過半を取得して子会社化した。
2016年12月28日、郭台銘鴻海会長の投資会社がシャープ保有のSDP株の一部を約171億円で買い取り、議決権保有割合を39・88%から53・05%に引き上げた。鴻海は主導権を握って経営判断を迅速化し、ディスプレーパネルやテレビなどの事業戦略を加速する。
同投資会社はSDPに別途約349億円を間接出資し、出資比率をさらに引き上げる。SDPは鴻海とシャープが同比率を出資して共同運営するが、液晶パネル価格低下の影響で足元の業績は赤字状態で、資金難に陥っていた。
SDP立て直しのため鴻海とシャープは2017年以降、サムスン電子など大口顧客へのパネル供給を停止し、拡販を計画するシャープ製テレビに使用する方針を決めた。
有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの生産でもSDPを活用するほか、鴻海が検討を進める中国の新大型液晶工場の立ち上げにもSDPの技術が必要になる。鴻海はSDPの経営権を握り、グループ全体の成長戦略の加速につなげる狙いがあると見られる。
SDPと広州市が、同市の増城区に8Kディスプレー関連の工場集積地を建設する枠組みに合意した。SDPは鴻海傘下で経営再建中のシャープと共同運営していた大型液晶工場。鴻海は16年末にSDPへの出資率を引き上げて株式の過半を取得した。
17年以降はSDPからサムスン電子などに供給してきたパネル外販を減らす方針で、大型液晶とテレビ事業で攻勢に出る。18年度中にSDPのパネルを使った8Kテレビをシャープから発売し、テレビ販売を1000万台に延ばす計画。
大型液晶パネル市場は韓国サムスン電子が工場を閉鎖して、有機エレクトロル・ミネッセンス(EL)パネルにシフトする影響などで、足元の需給が逼迫(ひっぱく)している。
ただ、18年以降は中国で大型液晶工場が次々と立ち上がる見通しで、供給過剰になるとの見方もある。
鴻海は堺ディスプレイプロダクトを子会社化
台湾・鴻海精密工業グループは、シャープと共同運営する大型液晶工場「堺ディスプレイプロダクト=写真」(SDP、堺市堺区)の株式の過半を取得して子会社化した。
2016年12月28日、郭台銘鴻海会長の投資会社がシャープ保有のSDP株の一部を約171億円で買い取り、議決権保有割合を39・88%から53・05%に引き上げた。鴻海は主導権を握って経営判断を迅速化し、ディスプレーパネルやテレビなどの事業戦略を加速する。
同投資会社はSDPに別途約349億円を間接出資し、出資比率をさらに引き上げる。SDPは鴻海とシャープが同比率を出資して共同運営するが、液晶パネル価格低下の影響で足元の業績は赤字状態で、資金難に陥っていた。
SDP立て直しのため鴻海とシャープは2017年以降、サムスン電子など大口顧客へのパネル供給を停止し、拡販を計画するシャープ製テレビに使用する方針を決めた。
有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの生産でもSDPを活用するほか、鴻海が検討を進める中国の新大型液晶工場の立ち上げにもSDPの技術が必要になる。鴻海はSDPの経営権を握り、グループ全体の成長戦略の加速につなげる狙いがあると見られる。
日刊工業新聞2017年1月1日