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そろそろゲリラ豪雨の季節。気象庁、観測精度高めます!

富士通が「アメダス」刷新。新型気象衛星「ひまわり8号」の画像で雲の種類の区別が容易に
 富士通は気象庁の地域気象観測システム「アメダス」を刷新した。全国約1300カ所のアメダス観測所や気象台、測候所などから、降水量や風向・風速、気温、日照などの気象観測データを収集し、品質チェックや統計値を計算するシステム。高性能プロセッサーを搭載したUNIXサーバー「スパークM10―1」を納入し、気象観測のデータ精度を高めた。受注金額は約2億8000万円。

 気象観測データは気象情報伝送処理システム「アデス」を経由して気象官署に配信し、特別警報や警報、天気予報など防災や生活に密着した気象情報の発表に活用する。システム刷新により、きめ細かい気象状況の変化を把握できるため、より精度の高い気象情報の提供が可能。

 また、気象観測データの解析に不自然な気象観測データの自動検知機能を追加することで、観測データの品質向上と業務効率化を実現した。さらに画像操作環境(GUI)を約200カ所改良し、誤操作を防ぎ、少ない操作で業務を遂行できるようにした。
(日刊工業新聞2015年05月22日 電機・電子部品・情報・通信面)

 ひまわり8号の真の実力は?
 
 気象庁の静止気象衛星「ひまわり8号」。昨年10月に赤道上空の高度3万6000キロメートルの静止軌道に打ち上げられ、宇宙から見える日本などの地球を監視している。実際には静止衛星から見える範囲をすべて観測できるフルディスク観測で、10分ごとにとらえ、従来の3倍の1時間に6回観測できる。「日本付近」や「台風周辺」などの狭い範囲では、わずか2分半間隔で撮影できるという。新たに水や氷を識別して積雪や海氷の範囲を特定できる近赤外線画像の撮影も可能だ。

 7号は白黒画像で性能も良くなかったが、8号は解像度を約2倍に向上。画像も可視光から近赤外線、赤外線まで16種類(バンド)の波長での撮影が可能だ。波長が5種類だった7号機より大幅に高性能化し、雲の種類の判別や積雪との区別が容易になる。

 画像の解像度は可視画像の場合、最大1キロメートル四方だったのが、500メートル四方に、赤外線画像も4キロメートル四方から2キロメートル四方にそれぞれ高めている。これまで雲と黄砂、火山灰の区別がつきにくかったのが、ハッキリ判別できる。

 こうした性能向上を実現できたのは、最新鋭の気象観測センサー(カメラ)の搭載だ。米国が16年に打ち上げる次世代気象衛星「GOES(ゴーズ)―Rシリーズ」用に開発された可視赤外放射計「ABI」を、三菱電機がひまわり用に「AHI」としてカスタマイズした。

 地球温暖化によって、ゲリラ豪雨や台風、竜巻など異常気象が世界中で続く中、気象予報の重要性は一段と増している。特にゲリラ豪雨などをもたらす積乱雲は40―50分程度の間に急速に発達し、これまで十分な予測はできなかった。それが約30秒ごとにとらえることもできる。
 
 ひまわり8号は、観測した画像は日本だけでなく、アジア・太平洋地域の30カ国以上に提供される。気象庁はひまわり8号だけでなく、地域気象観測システム「アメダス」やスーパーコンピューターを使って予報精度を大幅に向上させる。
 
 ここ数十年間、ハイテクを駆使して精度向上が進んでいる気象予報。しかし、異常気象もあり予測が難しくなっている面もある。ひまわり8号が本格運用されると、予報精度がケタ違いに向上し、宇宙からの“気象の見張り番”として防災にも威力を発揮しそうだ。 
日刊工業新聞2014年10月03日深層断面から一部抜粋・修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
日本の防災技術はこれから世界でビジネスになる。

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