ゲーム譲渡でキュレーションメディア買収、クルーズの“逆張り”戦略
今後は”ファストファッション"通販に集中
ソーシャルゲームや無料ブログ作成サイトなどで知られるクルーズ。10月にファッションEC事業「SHOPLIST」に経営資源を集中するため、ゲーム事業を譲渡し一部は社長直轄の子会社に移管した。加えてファッションキュレーションメディア「MARBLE」などを運営するベンチャーのCandle(東京都渋谷区、金靖征CEO)の全株式を12億5000万円で取得し、同社を子会社化。株式市場では、ゲーム事業を収益の柱とするネット企業の方向転換に個人投資家が反応。その後DeNAが運営する医療情報キュレーションサイトWELQ(ウェルク)が、著作権問題などを受け閉鎖された。小渕宏二社長に、一連の事業構造変革の狙いについて聞いた。
―ゲーム事業を譲渡した理由について
「ゲーム事業は短期間で大きな利益を生み出す可能性があるものの、ヒットのさせ方には方程式がなく、不確実性が高い。ゲームの開発期間が延び、開発費も増えた。各社によって異なるものの、開発期間3カ月―半年、数千万円の費用を要していたものが、開発期間1―2年で5、6億円(宣伝費なども込みで)かかるような例もある。ゲーム事業はこれまで培ったノウハウがあるので、少人数で開発本数を絞りながら継続する」
―ファッションEC事業のSHOPLISTに集中します
「(クルーズ)本体は分かりやすく覚悟を決めて、ファストファッションブランドでナンバー1になるという目標を掲げていく。低価格のファッションを軸とするプラットフォームはあまりなく、当社の位置付けとしては競争優位性があると考えている。SHOPLISTは、前期、前々期と2期連続で売上高50%超の成長を遂げ、事業規模拡大のための積極投資を継続しながらも利益を確保できる事業に成長している」
―ファッションキュレーションメディアを取得した後に、ウェルクの問題が発生。影響が懸念されませんか。
「キュレーションメディアを買収したとは考えていなくて、向こう(Candle)の経営陣を仲間に引き入れたかった。CandleはSEO(検索エンジン最適化)にも長けている。会社の財務諸表に表れないものを持っているのがベンチャーの良さ。SHOPLISTとのシナジー(相乗効果)だけを求めていたなら本体に吸収していたが、そうはしなかった」
―主力事業が次々と変わっていますが、経営方針については
「これまでの流れを紐解くと、5回以上事業ドメインを変えてきた。『いったい小渕さんは何がやりたいんですか』と言われることもある。ただ、メジャーリーガーのイチロー選手のように、最初からプロ野球選手になりたいなどと目標が決まっている人はまれだと思う。僕は走りながらやりたいことを見つけるタイプで、企業としては変化に強いのが売り。当面はSHOPLISTに集中していくが、ユーザーに対しての取り組みは変化させていきたい」
(聞き手=宮里秀司)
今まではゲーム企業というイメージが強かったために、市場の初期反応では「売り」だった。ゲームを主力事業からは外すが、少人数ながら事業を残すので、好感している個人投資家もいると見られる。個人的には今回の戦略はポジティブに捉えており、ファッションECは成長率が高いとみている。リスク要因としてはファッションECの競争の激しさ、SHOPLISTのブランディングやマーケティングの成否が挙げられる。
(フィスコ株式アナリスト・小林大純氏)
―ゲーム事業を譲渡した理由について
「ゲーム事業は短期間で大きな利益を生み出す可能性があるものの、ヒットのさせ方には方程式がなく、不確実性が高い。ゲームの開発期間が延び、開発費も増えた。各社によって異なるものの、開発期間3カ月―半年、数千万円の費用を要していたものが、開発期間1―2年で5、6億円(宣伝費なども込みで)かかるような例もある。ゲーム事業はこれまで培ったノウハウがあるので、少人数で開発本数を絞りながら継続する」
―ファッションEC事業のSHOPLISTに集中します
「(クルーズ)本体は分かりやすく覚悟を決めて、ファストファッションブランドでナンバー1になるという目標を掲げていく。低価格のファッションを軸とするプラットフォームはあまりなく、当社の位置付けとしては競争優位性があると考えている。SHOPLISTは、前期、前々期と2期連続で売上高50%超の成長を遂げ、事業規模拡大のための積極投資を継続しながらも利益を確保できる事業に成長している」
―ファッションキュレーションメディアを取得した後に、ウェルクの問題が発生。影響が懸念されませんか。
「キュレーションメディアを買収したとは考えていなくて、向こう(Candle)の経営陣を仲間に引き入れたかった。CandleはSEO(検索エンジン最適化)にも長けている。会社の財務諸表に表れないものを持っているのがベンチャーの良さ。SHOPLISTとのシナジー(相乗効果)だけを求めていたなら本体に吸収していたが、そうはしなかった」
―主力事業が次々と変わっていますが、経営方針については
「これまでの流れを紐解くと、5回以上事業ドメインを変えてきた。『いったい小渕さんは何がやりたいんですか』と言われることもある。ただ、メジャーリーガーのイチロー選手のように、最初からプロ野球選手になりたいなどと目標が決まっている人はまれだと思う。僕は走りながらやりたいことを見つけるタイプで、企業としては変化に強いのが売り。当面はSHOPLISTに集中していくが、ユーザーに対しての取り組みは変化させていきたい」
(聞き手=宮里秀司)
【アナリストの目】
今まではゲーム企業というイメージが強かったために、市場の初期反応では「売り」だった。ゲームを主力事業からは外すが、少人数ながら事業を残すので、好感している個人投資家もいると見られる。個人的には今回の戦略はポジティブに捉えており、ファッションECは成長率が高いとみている。リスク要因としてはファッションECの競争の激しさ、SHOPLISTのブランディングやマーケティングの成否が挙げられる。
(フィスコ株式アナリスト・小林大純氏)
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