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移植治療用の細胞、ロボットが自動培養

川崎重工業の技術活用し、タイの大学が移植実施
移植治療用の細胞、ロボットが自動培養

川崎重工業が開発した細胞自動培養システム「オートカルチャー」

 タイのチュラロンコン大学は、ロボット技術で自動培養した細胞を変形性膝関節症の患者に移植し、膝の軟骨の損傷を修復する治療法の臨床研究を実施した。細胞の培養には、川崎重工業が開発した細胞自動培養システム「オートカルチャー=写真」を使った。川重は今後、同大学での研究で培った成果を基に培養効率を高め、数年内の市販を目指す。

 患者本人から採取した骨髄の幹細胞を開発したシステムで培養し、患者の患部に移植した。密閉した装置内は、高レベルの清浄度に保った状態となっており、ロボットが培養作業を行う。

 従来、移植用の細胞は人の手作業で培養する方法が一般的。ただ、作業室全体の清浄度を保たなければならない上、熟練した技術者の育成が必要など課題があった。作業の自動化によって、細胞培養の省スペース化やランニングコストの低減が可能になり、細胞の品質も安定化できる。

 川重は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とタイ商業省による「再生・細胞医療プロジェクト」に参画。2013年10月から、同大学で細胞自動培養の実証実験を進めてきた。
日刊工業新聞2016年12月29日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 3年ほど前に工作機械業界を担当していた頃、タイの製造業の自動化について取材をしたことがあります。当時のタイで自動化のニーズが強まっていた背景には労働者不足がありました。若者が製造業への就職を避ける傾向も追い打ちをかけ、せっかく雇用しても、他社に引き抜かれて早期に離職する事例が多数発生。製造現場としては、人の入れ替わりが激しい中でも生産品質を一定にしなければならず、ロボットをはじめとした自動化機器を導入する動きが広がりました。将来はタイの医療現場も、製造業と同じように熟練技術者の取り合いになるのでしょうか。

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