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住友商事が本気を出したスーパー「サミット」の闘い方

竹野社長に聞く。再編を仕掛けられるポジションどう生かす?
住友商事が本気を出したスーパー「サミット」の闘い方

サミットの売り場

 総合商社が資源価格に左右されない体質づくりの一環として、川下である小売りへの関与を強めている。サミットの竹野浩樹社長に商社と連携を強化する意義を聞いた。

 ―住友商事から移り社長に就きました。
 「トップの役割は夢を語り、社員が闘うための策を打ち出すことだ。私は親会社から来た“ぽっと出”の人間であり、社風を変えるには適任だと思う」

 ―住友商事との関係は変化していますか。
 「コミュニケーションの幅は、格段に広がった。プロセスセンターの場所を探したり、物流で連携する話をしたりと、『オール住商』で話をする案件は増えている。SCSKとは人工知能(AI)の活用について検討するなど、グループの中で密に組もうという動きは出ている」

 ―現在、中期経営計画を策定中です。
 「ゴールを見せることで、社員の自律的な行動につながる。中期経営計画の実施により、サミットが日本のスーパーマーケットを面白くする」

 ―食品スーパーマーケット業界の再編は進むと見ていますか。
 「我々が展開している首都圏ですら、(店舗が多い)オーバーストア状態だ。地方部では新規に出店しても、成長は厳しい。勝ち負けもはっきりしてきた。生きていくための緩やかな連合は、止められないだろう。(サミットについては)首都圏で面白い案件があれば、M&A(合併・買収)は否定しない」

 ―そうした状況下、出店を積極化する方針です。
 「シェアを高めることで、取引先が我々を選ぶ指標になる。ただ、業態間の競争は厳しい。駆け引きに勝ちつつ、慎重に進めなくてはいけないという緊張感はすごくある」

 ―現場を支えるパートやアルバイト社員といった、人材の確保が課題です。
 「柔軟性を持った人事制度を考えないといけない。パート社員の定年延長のほか、育児や介護で辞めた人を呼び戻すことも考えている。外国人技能実習生の雇用も積極的に進めている。平均在職期間は6年弱であり、これを引き上げたい。最初の3カ月の離職率が3割なので、この時期の能力開発を手厚くすることで定着を図る」
                   

(聞き手=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年12月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
食品スーパーは今後、コンビニとの競合が激しくなり再編が待ったなしの状態だ。サミットはバックに住友商事がついている。再編を仕掛けられるポジションだ。三菱商事のライフコーポレーション、オーケーを核にした再編にどう立ち向かうのか。

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