社長の派遣も!東京海上日動、地方創生お手伝い
専門組織で本気度示す。稼ぐ仕組み作り支援
損害保険会社が地方創生をお手伝い―。東京海上日動火災保険が地方創生に本気を出している。金融機関として異例の地方創生専門の組織を立ち上げ、中小企業支援、インバウンド喚起など多様なメニューを展開、エース級の人材を地方鉄道会社の社長に派遣した事例もある。北沢利文社長は「地方が持続的に稼ぐ仕組み作りを支援することが本業の成長にもつながる」と取り組みの意義を強調した。
損保と地方創生は実は根っこでは奥深くつながっている。というのも東京海上の国内損保事業は個人・法人向けともに3分の2は地方が占める。つまり、地方経済の動向が損保事業の未来を左右しているからだ。しかし、地域活性化は自治体、地場企業の長年の課題であり、簡単には解決しない。そこで大企業との付き合いが深く、多くの成功事例を蓄積してきた同社がノウハウを投入し、地方の“稼ぐ仕組み作り”の支援に乗り出した。
ただ、地方創生を声高に主張しても実態は各地の支社に丸投げという事例も多い。そこで「会社としての本気度を示す」(北沢社長)ため、7月に専門部署となる地方創生室を立ち上げ、組織的に地域経済活性化に取り組む意向を示した。
本店と全国60以上の支店を巻き込み、兼務も含めて100人以上が関わり、10月から本格稼働している。その支援策もインバウンド、事業継続計画(BCP)策定など実に13ものメニューが並ぶ。
例えば海外展開を検討する中小企業には、海外進出に伴うリスクのコンサルティングサービスなどを用意。海外子会社の保険ノウハウを活用し、中小向けの専門性の高い保険の開発なども今後検討していくという。
希望があれば自治体へ人材を派遣し、観光業を中心に施策立案を直接支援する動きも。実際、長野県の第三セクターであるしなの鉄道には東京海上で営業開発部次長だった玉木淳氏を社長として送り出した。現在では全国の自治体に計7人が出向中という。
地方の稼ぐ力が高まれば東京海上のブランドも認知され、最後は保険ビジネスにもつながる。実現までは簡単ではないが「地道に成果を重ね、2017年も取り組みを加速させていきたい」と北沢社長は意気込む。
<次のページ:社長自ら全国行脚>
地方経済の動向が事業の未来左右
損保と地方創生は実は根っこでは奥深くつながっている。というのも東京海上の国内損保事業は個人・法人向けともに3分の2は地方が占める。つまり、地方経済の動向が損保事業の未来を左右しているからだ。しかし、地域活性化は自治体、地場企業の長年の課題であり、簡単には解決しない。そこで大企業との付き合いが深く、多くの成功事例を蓄積してきた同社がノウハウを投入し、地方の“稼ぐ仕組み作り”の支援に乗り出した。
ただ、地方創生を声高に主張しても実態は各地の支社に丸投げという事例も多い。そこで「会社としての本気度を示す」(北沢社長)ため、7月に専門部署となる地方創生室を立ち上げ、組織的に地域経済活性化に取り組む意向を示した。
本店と全国60以上の支店を巻き込み、兼務も含めて100人以上が関わり、10月から本格稼働している。その支援策もインバウンド、事業継続計画(BCP)策定など実に13ものメニューが並ぶ。
社長の派遣も
例えば海外展開を検討する中小企業には、海外進出に伴うリスクのコンサルティングサービスなどを用意。海外子会社の保険ノウハウを活用し、中小向けの専門性の高い保険の開発なども今後検討していくという。
希望があれば自治体へ人材を派遣し、観光業を中心に施策立案を直接支援する動きも。実際、長野県の第三セクターであるしなの鉄道には東京海上で営業開発部次長だった玉木淳氏を社長として送り出した。現在では全国の自治体に計7人が出向中という。
地方の稼ぐ力が高まれば東京海上のブランドも認知され、最後は保険ビジネスにもつながる。実現までは簡単ではないが「地道に成果を重ね、2017年も取り組みを加速させていきたい」と北沢社長は意気込む。
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日刊工業新聞2016年12月29日