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セメント国内販売、17カ月ぶりプラス。生産増やす動きも

都心再開が活溌化「年明けから需要の増加が顕著になる」
 セメント協会が22日発表した11月のセメント国内販売量は前年同月比5・1%増の385万6000トンと、17カ月ぶりに前年を上回った。輸入を含めた内需も26カ月ぶりに前年を上回る見込み。

 出荷日が前年に比べて実質1日ほど多いことを考慮しても、ほぼ前年並みの水準まで回復したという。地区別では複数のダム工事が動いている北海道や九州で伸びが目立った。首都圏も実質前年並みまで回復した。

 生産は同0・8%増の517万6000トンと3カ月連続で増えたが、期末在庫は同8・1%減の386万1000トンと33カ月ぶりに400万トンを割り込んだ。

 今後は東京都心などの再開発工事が活発化することや、東京五輪・パラリンピック関連など大型工事が相次いで本格的に動きだすことを背景に、各社とも生産を増やすことが予想されている。「年明けから需要の増加が顕著になる」(不死原正文流通委員長=太平洋セメント取締役常務執行役員)と見込む。

 また、16年度累計の内需は「なんとか前年度並みの水準に届くのではないか」(同)と期待している。輸出は同24・9%増の98万5000トンと11カ月連続のプラス。シンガポール向けの伸びが目立った。
      
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
太平洋セメントの福田社長は「生コンクリートの試験練りが相当出てきた。年明けからセメント需要が増えるのは確信に近い。むしろ、どの程度の量になるかが問題だ」と言う。試験練りが増えると、2カ月ほどたって出荷も増えてくるという。逆に、年明けも状況が変わらなければ東京五輪・パラリンピックの工事が間に合わない可能性も出てくる。最終の需要家であるゼネコン各社が最高益を更新、セメント業界は、値上げを認めてもらう環境は整っている。年明け以降、出荷量が増え出すタイミングを好機か。

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