ニッポン繊維の最強製品「不織布」はどこまでグローバル成長するか!?

アジアを中心に衛生用品向け需要が急伸。オペレーション力で企業間に格差も

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PPスパンボンドは紙おむつ向けで高いシェアを持つ
 繊維を織らず原料から直接シート状に製品化する不織布。その製法および特性は一般的な織布製品に比べ製造工程の短縮を可能にする上、機械化による量産化に対応している。素材用途は衣料用品をはじめ農業や土木・建築資材、自動車内装材、生活用品など広範囲にわたる。さらに業界では材料研究や製造法の機能化により高付加価値製品を開発。医療関連や防災用途、環境や新エネルギーなど新たな市場創出に拍車がかかる。一方、不織布メーカーはアジアを核とした衛生用品向け需要の急伸に呼応し、海外展開で活発な動きが見られる。

 国内の不織布生産量は14年の年間(14年1-12月)で約33万6277トン(前年比1・4%増/経済産業省生産動態調査)と、3年連続の増産基調にある。年初来の底堅い需要を受け、近年統計でピークとされる08年の約33万8436トン超えが期待されたが、4月の消費増税が出荷(生産)量に少なからず影響を与えたのか、わずか及ばない結果となった。

 用途別では生活関連、医薬・衛生材料分野が好調で全体シェアの50%を超える。中でも紙おむつなど衛生用品向け材料の生産は依然フル操業で、市場の需要に応えるため海外進出企業の現地生産品(原反)を逆輸入するケースも見られる。

 一方、日本不織布協会(井上和久会長)では海外へ進出した日本企業および日系企業(49%以上出資)の現地生産動向を調査している。同統計によると調査を開始した12年(1-12月)の進出企業累計生産実績は約16万5000トン。翌13年(同)は各社設備拡充に動いた生産動向が反映し同19万6000トンと前年同期比19%増の結果となった。生産概要は急拡大する需要に応え、全体の70%が衛生材料に関連した内容になっている。

 国内不織布業界の海外展開は、服の芯地など衣料分野の進出を皮切りに10年以上の実績がある。これまで衣料とともに海外事業で大きな経緯になった分野が自動車関連。世界的に製・販一体となった海外拠点構築の動きが拡大する中、内装・シート材など自動車関連部材を供給する不織布メーカーもこぞって進出に拍車を掛けた。

 その後、世界的に注目されているのが不織布を素材とした(紙おむつなど)衛生用品の需要拡大だ。特に経済成長著しい中国では各種衛生用品が浸透。現状、需要層は東南アジア諸国連合(ASEAN)にも広がり大きな市場を形成している。国内不織布メーカーは今後も有望視される現地供給ニーズに大型投資を決行。工場新設や既存工場のライン増設など、大手衛生用品メーカーとともに設備増強を図る。まさに業界は海外事業展開3度目のビッグウェイブを体感している。

 一方、国内の衛生用品動向は子供向けとともに大人用紙おむつの需要が増加。高齢化社会を背景にメーカーが進める介護用製品の開発、拡充が進展、売上高では子供用紙おむつをしのぐ勢いだ。

 さらに、国内不織布メーカーは高機能・高付加価値製品の開発を展開。自動車向けでは電気自動車(EV)用リチウムイオン二次電池のセパレーター部への応用など膜材の材料開発が進展する。また繊維を超微細化するナノ化への挑戦で新たな機能付加が期待されている。各社はフィルター材料など濾材としての精度向上を図り用途開発を進める。行政も先進的研究開発への後押しを表明。日本を代表する成長産業として新たな市場拡大に期待が高まる。

日刊工業新聞2015年05月19日不織布産業広告特集

COMMENT

峯岸研一
フリーランス

日本の繊維産業が苦戦を強いられて来た中で、「量」「質」ともに健闘しているのが不織布。とくに、スパンボンド(SB)はポリプロピレン(PP)を中心に衛生材向けで需要を伸ばしている。強みは高品質をベースに紙オムツでサイドギャザーからバックやトップシートへ採用範囲を広げていることだ。最近では東レがインドネシアと中国で増設分を稼働、旭化成せんいがタイで増設中のように、PP・SBにとって拡大の鍵を握るのはグローバルオペレーションに尽きる。東レグループ、旭化成せんい、三井化学グループの日系PP・SB大手の次の一手に注目したい。

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