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「片まひ」患者向けキーボードのタイピング支援

早大が装置開発、12種類のキーを入力
「片まひ」患者向けキーボードのタイピング支援

片まひに対応した立体型キーボードのデバイス

 早稲田大学の宮下朋之教授、三浦智助手、藤江正克名誉教授らは、脳卒中などで片手が動きにくくなった「片まひ」の患者に対応したキーボード型のタイピング支援装置を開発した。立体型のキーボードのデバイスに指を置き、わずかな指の動きで12種類のキーを入力できる。普通に動かせる片方の手に加え、まひで動きにくくなった手でキー入力ができれば、正常な手への負担やキーの入力時間などを減らせる。

 川崎市北部リハビリテーションセンター(川崎市麻生区)で試験運用する。立体型キーボードは、12個の圧力センサーを設置し、1本の指にそれぞれ三つのセンサーが接触する。指を「真下に押す動き」「前方にはじく動き」「手前に引く動き」によって1本の指に3種類のキーを割り当てた。

 設計によりキーの割り当ては変更可能。キーボードが指に沿った構造のため、入力のために指が動く距離が短く、キーの入力時間を減らせる。

 開発にあたり、30文字のキー入力の試験を20回実施。20回目で誤ったキー入力をした割合を調べたところ、18%だった。標準的なキーボードで誤入力する割合より高いため、今後、1本の指で3種類のキーを正確に押し分けられるよう、研究を進めていく。また、まひの度合いが高い患者にも適用できるように改良していく。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
日本リハビリテーション医学会によると、年間30万人が片まひの原因となる脳卒中を新たに発症。脳卒中患者数は300万人を超えると推定されています。

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