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現代版、東西文明の十字路。トルコ イスタンブール・アタテュルク国際空港

ターキッシュエアラインズは2020年に向け、さらに機材を拡大
 午前1時のアタテュルク国際空港。搭乗ゲートや免税店は、まるでお祭りのような人の多さだ。これは、アタテュルク空港をハブとするトルコのターキッシュエアラインズが、世界中からイスタンブールに夜中に着く路線を張り、最終目的地にその日の朝に着くことを想定してスケジュールを組んでいるからだ。イスタンブールは、観光地としても非常に魅力的な都市だが、アジアと欧州を結ぶ中間地点としても、地政学上、非常に有利な位置にある。この地政学上のメリットを最大限に生かし、ターキッシュエアラインズは、ネットワークを拡大している。

 ターキッシュエアラインズは117カ国、292都市に就航しており、世界一の圧倒的なネットワークを誇る。就航国でみると、JALANAがそれぞれ約20カ国なので、地理的な条件の違いはあれど、ターキッシュエアラインズのネットワークの充実ぶりがよく分かる。

 アタテュルク空港を行き交う人々は、中東の民族衣装「カンドゥーラ」を身にまとう周辺地域からだけでなく、欧州、アジア、世界中からここに集まっている。黒海、エーゲ海、地中海に囲まれたトルコは、古くから「東西文明の十字路」として栄え、西洋と東洋の文化が混ざる魅力的な都市として発展してきた。現代では、空港が東西文明の交流地点といっても過言ではない。

夜明けにもかかわらず多くの人が行き交うイスタンブール・アタテュルク国際空港


 ターキッシュエアラインズは、こうした乗り継ぎ客のために、イスタンブールをの観光名所を効率よく回れる無料の市内ツアーを提供している。このツアーは、6~24時間以内に乗り継ぐ利用者を対象に提供しているもので、スルタンアフメットジャーミィー(ブルーモスク)やトプカプ宮殿などを無料で見学できる。ツアー開始30分前までに申し込めば参加でき、事前予約も要らない。長い乗り継ぎ時間を有効活用し、世界遺産も多いイスタンブールの観光名所を回れるので、おすすめだ。

日本路線に米ボーイング777型機を導入


 その一方、近年は中東を中心とした政情不安の影響を受けており、渡航者が減少。アタテュルク空港もテロの被害を受け、ターキッシュエアラインズは3月から、1日2便運航していた成田路線を1便に減便した。2017年2月からは、関西-イスタンブール線を運休する。その一方で、7月には成田線の輸送力の増強を図るため、成田-イスタンブール線に米ボーイング777型機を導入し、機材の大型化を図っている。

 777-300は、従来の欧エアバスA330-300型機に比べ、ビジネスクラス49席、エコノミークラス300席の計349席で、A330-300に比べ、ビジネスクラスは21席、エコノミークラスは39席増えた。

ターキッシュエアラインズは2016年に777-300ERを6機、737-800型機を20機の計26機受領しており、現在、合計339機を保有している。2021年には440機まで拡大する予定で、さらに路線を拡充する計画だ。
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高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
テロの影響などで厳しい状況に置かれ、日本では関西線を運休する計画のターキッシュエアラインズですが、地の利を生かしたネットワークは世界屈指のレベル。今後も機材が拡大する方向で、さらなる就航都市の拡大が見込まれます。

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