地震でエレベーターに閉じ込められた!絶対に必要な備蓄セットの中身
コクヨのキャビネットには飲料水、簡易トイレ、多機能ラジオライトなど
コクヨの防災備蓄セット「エレベーター用防災キャビネット」の導入が広がっている。大震災発生時にエレベーターが停止した場合の閉じ込め対策として注目され、2007年発売以降で商業施設やオフィスビルなどへの導入が累計1万台を突破した。防災意識の高まりや都内再開発のビル建設などを追い風に、20年までに累計販売数8万台を目指す。
15年5月30日、小笠原諸島西方沖を震源とするM8・1の地震が発生し、首都圏では約1万9000台のエレベーターが運転停止、14件の閉じ込めが発生。近い将来、首都直下地震が起きれば、最大約1万7400人がエレベーター内に閉じ込められると想定される(中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ)。
閉じ込めに遭った際、エレベーター内に最低限の防災備蓄品が備蓄されていれば、閉じ込められた人は安心するはず。そんな時役に立つのが、エレベーター壁面に設置し備えるコクヨの防災備蓄セット「エレベーター用防災キャビネット」だ。キャビネットの中には非常用飲料水、食料、簡易トイレ、多機能ラジオライト、救急用品、アルミブランケットなどを収納している。
設計にあたり「必要最小限のスペース構成」(コクヨ事業開発センター防災ソリューション事業部開発グループの黒神英司グループリーダー)にして、エレベーター内の限られた面積に対応した。
床や壁に穴を開けずコーナー部に設置できるよう三角柱の形状を採用。キャビネット上部は斜め傾斜で子供のよじ登りや不用品を置かせない工夫を施した。キャビネットの扉は簡単に開けられるが鍵がなければ閉められない構造で、開けた際にアイテムがなくなっているといった事態を防ぐ。
各ビルごとにエレベーターの大きさや床面積も異なり、コクヨ事業開発センターの比護光則防災ソリューション事業部長は「総合メーカーとして、家具やオフィス用品を扱ってきた経験が生きた」と話す。全国に拠点を持つ同社は導入後の運用管理にも強い。
1台当たりの価格は約15万円。16年3月に開業したJR新宿駅と高速バスターミナル「バスタ」に直結する複合ビル「JR新宿ミライナタワー」など、新築ビルや商業施設、オフィスビルなどで導入が広がっている。15年は前年比30%増で売上高が伸びた。
比護事業部長は「11年に発生した東日本大震災で防災意識が高くなり、まだ高止まりしている状況」と話す。今年は震災から5年目を迎え、長期備蓄品などを更新する時期。「かつては防災対策を導入することが大事だった。最近は維持・進化させて、きめ細かく対応していくという流れに変わってきている」と防災意識の質的な変化を強調する。
今後収納アイテム内容を強化する。防災対策において「企業の防災担当者は男性が多く、割と男性目線で選びがちになる」ため「女性向けに特別な対応が必要だ」と、細分化するニーズに対応していく。
(文=山下絵梨)
15年5月30日、小笠原諸島西方沖を震源とするM8・1の地震が発生し、首都圏では約1万9000台のエレベーターが運転停止、14件の閉じ込めが発生。近い将来、首都直下地震が起きれば、最大約1万7400人がエレベーター内に閉じ込められると想定される(中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ)。
閉じ込めに遭った際、エレベーター内に最低限の防災備蓄品が備蓄されていれば、閉じ込められた人は安心するはず。そんな時役に立つのが、エレベーター壁面に設置し備えるコクヨの防災備蓄セット「エレベーター用防災キャビネット」だ。キャビネットの中には非常用飲料水、食料、簡易トイレ、多機能ラジオライト、救急用品、アルミブランケットなどを収納している。
設計にあたり「必要最小限のスペース構成」(コクヨ事業開発センター防災ソリューション事業部開発グループの黒神英司グループリーダー)にして、エレベーター内の限られた面積に対応した。
床や壁に穴を開けずコーナー部に設置できるよう三角柱の形状を採用。キャビネット上部は斜め傾斜で子供のよじ登りや不用品を置かせない工夫を施した。キャビネットの扉は簡単に開けられるが鍵がなければ閉められない構造で、開けた際にアイテムがなくなっているといった事態を防ぐ。
各ビルごとにエレベーターの大きさや床面積も異なり、コクヨ事業開発センターの比護光則防災ソリューション事業部長は「総合メーカーとして、家具やオフィス用品を扱ってきた経験が生きた」と話す。全国に拠点を持つ同社は導入後の運用管理にも強い。
1台当たりの価格は約15万円。16年3月に開業したJR新宿駅と高速バスターミナル「バスタ」に直結する複合ビル「JR新宿ミライナタワー」など、新築ビルや商業施設、オフィスビルなどで導入が広がっている。15年は前年比30%増で売上高が伸びた。
比護事業部長は「11年に発生した東日本大震災で防災意識が高くなり、まだ高止まりしている状況」と話す。今年は震災から5年目を迎え、長期備蓄品などを更新する時期。「かつては防災対策を導入することが大事だった。最近は維持・進化させて、きめ細かく対応していくという流れに変わってきている」と防災意識の質的な変化を強調する。
今後収納アイテム内容を強化する。防災対策において「企業の防災担当者は男性が多く、割と男性目線で選びがちになる」ため「女性向けに特別な対応が必要だ」と、細分化するニーズに対応していく。
(文=山下絵梨)
日刊工業新聞2016年12月19日