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スマホ特需が終わった射出成形機。車シフトも競争激しく

日系メーカーは30社以上、プレーヤー過多で再編も
スマホ特需が終わった射出成形機。車シフトも競争激しく

日精樹脂工業の射出成形機

 射出成形機の2016年は、出荷台数の中心を占める型締め力100トン未満の小型機が振るわず、苦戦が続く年となった。スマートフォン(スマホ)の好調に伴う画面の導光板や筐体(きょうたい)、レンズといった樹脂製品向けの旺盛な需要、いわゆる「スマホ特需」がなくなり、各社は自動車関連へのシフトを進めている。一方で業界再編の動きも出てきた。

 小型機を得意とする住友重機械工業とファナックにとって、16年は向かい風の状況が続いた。台数が稼げるスマホ向けがなくなったことに加え、11月まで円高が続き、輸出関連が価格面で競争力を持てない状況が続いた。米アップルの「アイフォーン」や中国スマホの人気が落ち着いた今、「もうスマホ特需はない」(平岡和夫住重常務執行役員)という“数”が見込めない中で、次の一手が求められる。

 住重は千葉製造所(千葉市稲毛区)の生産や物流などの効率化で利益を確保していく考えだ。ただでさえ射出成形機は利幅が少ない製品。今後は利益を確保できる体質づくりとIoT(モノのインターネット)に対応するなどの付加価値で対応していく。ファナックは「需要がゼロになるわけではない。目先の数字でどうこうしない」(内田裕之副社長)と長期的な視野で地道に販売やサービスを整えていく。

 日精樹脂工業、東洋機械金属は中・大型機を強化し、自動車関連の需要を取り込む。ソディックも持ち味の高精度を生かして自動車のセンサーや蓄電池の部材向けを開拓しており、自動車を得意とするメーカーとの競争が激化している。
(文=石橋弘彰)
日刊工業新聞2016年12月15日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
また、大型機を得意とする宇部興産が三菱重工業の射出成形機事業を買収した。宇部興産や日本製鋼所は、売上高1000億円を超える海外勢と戦うためには再編が必要という姿勢。日系メーカーは30社以上がひしめくプレーヤー過多な状況でもあり、今後も業界内で買収や海外事業での提携などが起こる可能性は高い。

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