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食品売り場をカートが自動走行。ロボットは買い物の楽しみも広げる?

埼玉大がイオンで実証。1年以内の実用化目指す
 埼玉大学大学院理工学研究科の小林貴訓(よしのり)准教授らは14日に高齢者支援に向けた「自律移動買い物カート」の実証実験をイオン北浦和店(さいたま市浦和区)で行った。カートに設置したタッチパネル画面で商品を選ぶと、棚まで自動で誘導し、レジでの会計からカート返却まで自動走行する。目玉商品などの情報表示や音声案内も提供する。今後1年以内の実用化を目指す。

 同カートには店舗内の地図や商品などの情報が登録され、レーザーセンサーやモーター回転数、地図情報から自己位置を推定し自動走行する。障害物を自動で避ける機能も搭載する。

 同店には日帰り介護施設「ケアサポート」が入居し、来所者が店内で買い物する機会が多い。高齢者にとって買い物は歩行練習に加え、何を買うか覚えたり買い忘れ防止など認知機能に働きかけるリハビリとしても注目される。施設に通う78歳の女性は「ヘルパーに買い物を手伝ってもらうこともあったが、カートが自動走行するので便利だ」と語った。小林准教授の研究室は2014―15年に埼玉県先端産業創造プロジェクトの研究支援を受け、現在は研究成果の実用化に取り組む。
日刊工業新聞2016年12月15日
土田智憲
土田智憲 Tsuchida Tomonori かねひろ
ここまでできると、やろうと思えば商品のピックもできるようにできそうですが、あくまで「人間をサポートするロボット」というのは、とても大事な考え方だと思います。 特にスーパーで実際に食品を見ながら、「今夜はあれ食べようかな」とか、「そういえば冷蔵庫にあれが残っていた」と考えを巡らし、目の前にある魚を見て「今日はこのお魚が美味しそうだな」と自分の感覚を刺激することは、楽しみの1つですね。 「全て自動でやってくれる便利のため」なのか、「自分の楽しみを広げるために活用する」なのか、はたまた「自分の能力を上げるトレーニングのために負荷をかける」なのか。いろんな目的を持ったロボットの可能性がありますね。

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