ハンドメイドのオーダーギターを短納期で作る群馬のベンチャー
【連載】挑戦する地方ベンチャーNo.12 Regal Guitar Instruments
ロック、ポップス、ジャズ、クラシックなど、さまざまな音楽で多彩な音を出すギター。演奏人口が多く、出回っているブランドや種類も多い。しかし既製品で飽きたらずオーダーメイドするとなると、納期は半年から1年、値段は高級なものでは数百万円かかることも。そんなオーダーメイドギターをもっと身近にし、さらには木材の使い方にこだわり「出したい音」を追求したギターを製作する、という挑戦をしているベンチャーがある。
群馬県前橋市のギター製作所「Regal Guitar Instruments」。オーダーメイドでギターやベースを製作し、修理や調整も行っている。特徴はオールハンドメイドであるということ。お客さんの出したい音のニーズを聞き、実際の演奏を見て癖やスタイルを把握する。音を実現するために木材の選定にもこだわる。木の種類だけでなく、板材のどの部分を使うかによっても出せる音が変わってくるからだ。「大量生産では見落とされていた木の性質や木目の向き、部材の位置などを手作業であればコントロールすることができます」と社長の藤原達矢氏は話す。手作業でオーダーメイドを行う企業は全国でも数社しかないという。
ハンドメイドは納期がかかってしまうイメージがあるが、同社ではエレキギターが1カ月、アコースティックギターは3カ月で完成する。価格も20万円からと、手が届きやすい。納期を早くし人件費をかけないことで安価に提供することを心がけている。これには藤原氏の想いが込められている。「音楽をやる人にとって、自分のオリジナルの楽器を持つことは最大の喜び。今まで高額で我慢していた人たちにオーダーメイドギターを提供していきたい」。
藤原社長自身も、自分の出したい音を追求してきた一人だ。大学時代、バンド活動に打ち込んでいた中で直面したのが「既存の楽器で自分たちの出したい音が出せない」ということだった。「音を追求するには楽器を自分たちで作るしかないと思い至り、ギターを作ってみたら結構いいものができて面白くなって。大学を辞めて楽器製作のための専門学校に行くことにしました」(藤原氏)。この時すでに、将来は楽器製作会社を立ち上げることを考えていたという。
専門学校で楽器製作を学びながら、高崎の楽器店でベース講師とリペアも担当。卒業後は群馬県のウクレレメーカーに入社し、生産効率化に携わったり、特許を獲得したり、プロミュージシャンへの一点物のウクレレを製作するなど実績を残した。群馬県は国内でも有数のウクレレの産地。生産の効率化に携わり月産1200本だったものを1500本まで増産した。修行という側面もあり、経験を積んだのち3年で退社。2015年にRegal Guitar Instrumentsを立ち上げた。独立は20歳ごろからの目標だった。現在は同じくギター製作に魅せられた大学の先輩と2人で月10本程度のギターを作っている。
プロ、アマチュア問わずオーダーを受けるが、「宣伝は特にしていないのですが、口コミでお客さんが増えています。プロは特に大御所ギタリストが多いですね」。地元紙に取り上げられたことがきっかけで、地元ラジオ局の起業家紹介番組に出演するなど、取材を受けることが増えてきたことも集客に貢献している。現在ではイベントにも多く出演するようになった。
藤原氏は地元・群馬への貢献も強く意識している。県内の木材利用を考えていたり、ふるさと納税の返礼品としてギターを提供したりするなどの活動を行う。群馬県、前橋市など県内さまざまな自治体とのつながりも増えてきた。「東京・銀座にある群馬県のアンテナショップ『ぐんまちゃん家』にギターを置こうと計画中です」。
さらに、楽器製作業界の底上げも大きな目標の1つだ。業界全体に若手が減っており、後輩の育成にも力を注ぎたいという。「この仕事は『楽器が作れればそれでいい』というわけにはいかない。お客さんとのコミュニケーションや求める音の分析能力などを持つ人材を育成していきたいと考えています。これから良い木材が枯渇していったとき、楽器の良し悪しが分からず量産体制で製作している企業は絶対に勝ち残れない。業界全体の底上げや意識づけをしていきたいですね」。
オリジナルの楽器を持つことは最大の喜び
群馬県前橋市のギター製作所「Regal Guitar Instruments」。オーダーメイドでギターやベースを製作し、修理や調整も行っている。特徴はオールハンドメイドであるということ。お客さんの出したい音のニーズを聞き、実際の演奏を見て癖やスタイルを把握する。音を実現するために木材の選定にもこだわる。木の種類だけでなく、板材のどの部分を使うかによっても出せる音が変わってくるからだ。「大量生産では見落とされていた木の性質や木目の向き、部材の位置などを手作業であればコントロールすることができます」と社長の藤原達矢氏は話す。手作業でオーダーメイドを行う企業は全国でも数社しかないという。
ハンドメイドは納期がかかってしまうイメージがあるが、同社ではエレキギターが1カ月、アコースティックギターは3カ月で完成する。価格も20万円からと、手が届きやすい。納期を早くし人件費をかけないことで安価に提供することを心がけている。これには藤原氏の想いが込められている。「音楽をやる人にとって、自分のオリジナルの楽器を持つことは最大の喜び。今まで高額で我慢していた人たちにオーダーメイドギターを提供していきたい」。
出したい音を追求
藤原社長自身も、自分の出したい音を追求してきた一人だ。大学時代、バンド活動に打ち込んでいた中で直面したのが「既存の楽器で自分たちの出したい音が出せない」ということだった。「音を追求するには楽器を自分たちで作るしかないと思い至り、ギターを作ってみたら結構いいものができて面白くなって。大学を辞めて楽器製作のための専門学校に行くことにしました」(藤原氏)。この時すでに、将来は楽器製作会社を立ち上げることを考えていたという。
専門学校で楽器製作を学びながら、高崎の楽器店でベース講師とリペアも担当。卒業後は群馬県のウクレレメーカーに入社し、生産効率化に携わったり、特許を獲得したり、プロミュージシャンへの一点物のウクレレを製作するなど実績を残した。群馬県は国内でも有数のウクレレの産地。生産の効率化に携わり月産1200本だったものを1500本まで増産した。修行という側面もあり、経験を積んだのち3年で退社。2015年にRegal Guitar Instrumentsを立ち上げた。独立は20歳ごろからの目標だった。現在は同じくギター製作に魅せられた大学の先輩と2人で月10本程度のギターを作っている。
プロ、アマチュア問わずオーダーを受けるが、「宣伝は特にしていないのですが、口コミでお客さんが増えています。プロは特に大御所ギタリストが多いですね」。地元紙に取り上げられたことがきっかけで、地元ラジオ局の起業家紹介番組に出演するなど、取材を受けることが増えてきたことも集客に貢献している。現在ではイベントにも多く出演するようになった。
業界全体の底上げを
藤原氏は地元・群馬への貢献も強く意識している。県内の木材利用を考えていたり、ふるさと納税の返礼品としてギターを提供したりするなどの活動を行う。群馬県、前橋市など県内さまざまな自治体とのつながりも増えてきた。「東京・銀座にある群馬県のアンテナショップ『ぐんまちゃん家』にギターを置こうと計画中です」。
さらに、楽器製作業界の底上げも大きな目標の1つだ。業界全体に若手が減っており、後輩の育成にも力を注ぎたいという。「この仕事は『楽器が作れればそれでいい』というわけにはいかない。お客さんとのコミュニケーションや求める音の分析能力などを持つ人材を育成していきたいと考えています。これから良い木材が枯渇していったとき、楽器の良し悪しが分からず量産体制で製作している企業は絶対に勝ち残れない。業界全体の底上げや意識づけをしていきたいですね」。
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